島田正路の言霊:言霊による宇宙とは

 最初にお話しましたように、眼を開けて見る物質的客観宇宙は、眼の前のミクロの宇宙から、遠い、遠い、膨張し続けるといわれる宇宙すなわちマクロの宇宙まで続いています。そしていま私達が地上から真上に真直ぐに飛び出して超高速に限りなく飛び続ければ、ちょうど飛び出す時と反対の方向から元の場所に帰って来てしまうということがよくいわれます。宇宙は無限ということの概念的神秘がここに考えられるでしょう。
 それとは全く逆の方向に、眼を閉じて内なる主観的精神宇宙についていえばどうでしょうか、この広大な主観的精神宇宙も極めて具体的に要約して考えてみれば、人間の意識が何も起こらない時、すなわち空なる宇宙そのものの中に、初めて現れる意識の萌芽であるウに初めり、アワ、オエヲヱ、ヒチシキミリイニ、イキの先天部分が頭脳の中で働き、それが後天として具体的形となり言葉として発音され、その音が空中を飛んで自分または他人の耳の入り、また頭脳の中に進入して再検討され了解されて先天の宇宙に帰り、記憶として頭脳内に印画されます。精神宇宙を言霊の立場から最小限に要約すると上記以外のものではないことが明らかに理解されます。
 大昔の日本人は言霊の原理に到達して、この最小限要約の宇宙に起こる精神現象の機能順序を言霊によって表現することに成功しています。詳しい説明は後に譲りますが、今はその作用を現わす言霊の順序を示すことにしましょう。
 この時最初の混沌たる意識の始まりであるウが、一循環した後で元の宇宙に帰り記憶となって残ります。最初のウは言霊ン(漢字云)に転化します。ンは意識の運びを意味し、実際にンとは言葉を運ぶものすなわち文字のことであります。