島田正路の言霊:親音

 以上三つのこと、すなわち
一、現象としては現れない純粋主観と純粋客観との間の懸け橋として、母音ウオアエ、半母音ウヲワヱを結ぶ父韻キシチニヒミイリと展相して現象である子音を生み、
二、五つの母音の長として多の四音を統轄する働きをし、
三、同時に、それに名前を付ける根本の名(名の名)としての役目を果たす、
それが言霊イと言霊ヰであります。この三つの作用こそ人類文明創造の根本原動意思であります。であるからこそ、母音・半母音であり、また、父韻キシチニヒミイリとして展相する実体でもある言霊イ・ヰを、五母音のなかで特に親音と呼ぶのです。人類文明の創造主なのであります。
 以上で母音・半母音・父韻・親音と出揃っていよいよ言霊子音の誕生となるのですが、今までに人間の意識がだんだん目覚めて行く過程で説明した音の図形は次のようになるでありましょう。
 人間が眠りから目覚めて、何だか分からないが、何かが発生し動き出したなという漠然とした意識から始まって、頭の中で形にはならない先天部分の各段階の経緯を経て、人間知性の原律である八父韻の働きかけがあり、最後に人間生命の創造意志が最低部で発動して、初めて心の現実の現象の最小要素である言霊子音が誕生する経過は以上のようなものであります。
 この図形の原理が、大昔、中国に興った易経によって数理に置き換えられ、人生における現象の予知とそれに対する心構えが説かれますた。それを左に示します。原理の交流の経緯やその歴史的意義などについてはのちほど詳しく説くことにいたします。
 ついで大和言葉命名の面白い例を申し上げましょう。先の意識の目覚めの図形で、言霊ウからア、ワ・・・と始まり、十六番目の言霊イに至って初めて、人間創造の意志が働き現象を産みます「イザ」と意志が加わります。十六番めでイザです。それゆえ十六夜をイザヨイと呼ぶのであります。