気功鍛錬と臓腑④

(4)肝
①肝は謀慮を主る。
 謀慮とは深く考えろめぐらすことであり、精神活動を指している。 
②蔵血を主る
③五行においては風木に属す。
 風の本性はのびやかな移動性である。外界から強い情緒的な刺激を受けたときには怒りの感情として現れ、それがかえってまた肝を傷つける。「肝は…志にありて怒りの怒りをなし、怒れば肝を傷(やぶ)る」(『素問』陰陽応象大論)。肝が傷つけられることによってさまざまな肝の病変が出現する。
 練功を行って放松・入静の状態に入ると、精神は非常に安定し、肝気はのびやかになる。練功には、肝気が横逆して脾に悪影響を及ぼす「木剋士」の病態を予防したり、あるいはすでに上亢した肝陽を鎮め肝火を沈降させる作用がある。練功のあと気分がすっきりするのはこのためである。「血は気とともに上に走る」という理論がある。そこで肝陽や肝風を目的に治療する場合は、とくに身体の下部に注意を集中させるようにして、気と血を下へと行かせるようにすべきである。こうすることで上盛下虚の状態は改善され、同時に平肝潜陽の作用を起こすことができる。
④肝は目に開竅する。
「機(はたらき)は目に在り」(『陰符経』)
 古代、気功において、身体はすべて陰に属すが、唯一目だけは陽に属すと認識されていた。目を閉じて内視することによってはじめて、内視している体内の部分に作用を及ぼすことができる、と考えられていたのである。
『黄庭経』には、「物事にとらわれない恬惔(てんたん)とした心もちで目を視れば、内にあるものはおのずと明らかになる」と書かれており、『奇経八脈考』にみえる「返観」というのも、ほぼこれと同じことを指していると考えられる。