2021年08月

言霊百神│絶妻の誓⑤

すなは(爾)ち千引石を(、)そ(其)の黄泉比良坂に引き塞へて そ(其)の石を中に置きて、各対き立たして、事戸を度(わた)す時に 千引石(せんびきいは)の千は道(血)であり、石は五十葉(いは)すなわち言霊であり、特にその中…

言霊百神│絶妻の誓④

斯くの如き故にこの高天原神界に対する黄泉国からの最初の攻撃であった伊邪那美命との葛藤に対して伊邪那岐命が取った初めての態度方法は、そのままその後幾回も行われた同様の攻撃に対する基本的な処置法である。従って彼の時の処置法が…

言霊百神│絶妻の誓③

高天原とは天壌無窮、万世一系、永劫不変に完成された生命の知性、精神の主体としての宇宙の中枢の自覚体である。これに対する予母津国は高天原以外の地上世界を舞台として生命の客体に関する学問の発展と完成を目指して悠久の努力を続け…

言霊百神│絶妻の誓②

この五千年以上にわたる長い歴史的経過の間に、此の伊邪那美命の追撃は幾回か時を変え形を変えて繰返えして行われた。第一回目はこの伊邪那美命自身の時代に於ける事態であり、第二回目は須佐之男命の「参ひ上り」であり、第三回目は大国…

言霊百神│絶妻の誓①

最後(いやはて)に(、)そ(其)の妹伊邪那美命、身自ら追い来ましき 伊邪那美命は既に黄泉国の主催者黄泉津大神になっている。それは黄泉国の神々すなわちその原理の研究総覧者であって、その歴史的思想的内容はその後、須佐之男命、…

言霊百神│黄泉国㉚

『古事記』は昔のことを云っているのではなく、恒常の「中今」を説いている。「桃子三つ」の権威を世界に示す時は常に今であり、特に現代の今日に於てである。『古事記』は人類の第一文明である精神原理の把持保存継承に任じて来た日本人…

言霊百神│黄泉国㉙

伊邪那岐命は追い詰められた揚句、この三つの麻邇の範疇、すなわち百(桃)の言霊の稜威を示したところ、黄泉国の思想的軍勢は此処にはじめてその道理の素晴らしさに驚いて悉く逃げ帰った。 ここ(爾)に伊邪那岐命、桃子に告りたまはく…

言霊百神│黄泉国㉘

そ(其)の坂本なる 桃子(を)三つ(箇)と(取)りて(、) 待ち撃ちたまひしかば、悉に逃げ返りき 黄泉比良坂の坂本はそこが黄泉国の文化の無自覚の起点出発点であり、同時にそこが高天原の文明の限界境界であり結論終点である。「…

言霊百神│黄泉国㉗

猶(、)追いて(、)黄泉比良坂の坂本に到る時に 伊邪那岐命はこのように追われながら懸命に黄泉国の言語、文字、学問を研究した。そして最後に黄泉比良坂の坂本に到達した。比良は比礼であって、前述した如く文字のことであり、またそ…

言霊百神│黄泉国㉖

以上の様な思惟の運用を宗教上の魂の遍歴修行の過程として考えることもまた一応意義のある事である。十拳剣を後手に振ることはすなわち哲学的な否定すなわち禅の所謂「無字」の拈提でもあって、儒教、キリスト教にあってはこの事を反省と…
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