言霊百神│絶妻の誓②

この五千年以上にわたる長い歴史的経過の間に、此の伊邪那美命の追撃は幾回か時を変え形を変えて繰返えして行われた。第一回目はこの伊邪那美命自身の時代に於ける事態であり、第二回目は須佐之男命の「参ひ上り」であり、第三回目は大国主命の国譲りの時の事であり、第四回目は海幸彦と山幸彦の争いとしてのものである。以上第一回から第四回に至るまでの事態は実際の史実ではなく、真理の発展の神話的咒示解説であるか、若しくは将来の予言であると見ることが出来る。第五回目は神武天皇と饒速日命との争いとしてのものであった。神武以後の事は明瞭な史実である。
その後も此の追撃は両神の対立抗争の形として幾回か繰返された。物部と蘇我の争い、壬申の乱、源平の戦い、南北朝の対立等を個々別々な歴史的事実と考えず、人間の宿業の流転輪廻相続の相と見る時は、すべて同一の霊的因縁の繰返しであるに他ならぬ。その宿業とは岐美二神の分離対立であって、日本のみならず広く世界的意味に於ける南北朝の対立である。神武維新以後三千年の今日、仏教で云う正像末のどん詰まりの時期に当って、いよいよこの問題に関して人類が最高の解決を得なければならぬ機運が到来した。