気功の方法…六字訣①

嘘(シュイー)、呵(コー)、呼(フー)、四(スー)、吹(チュイー)、喜(シー)の六字訣は、陶弘景の『養性延命録』にもっとも早く見られ、その後も古代の気功に関する多くの著作の中で述べられている。六字訣について最も詳しく述べられているのは、宋の鄒朴庵の『大上玉軸六字気訣』である。もともとの六字訣の操作は、息を吐き出すことを主とする単純な静功法にすぎなかったが、明代から動作との組み合わせに関する資料がみられるようになった。たとえば、高濂の『遵生八牋』・胡文煥の『類修要訣』の中では、六字訣を「去病延年六字訣法」といい、口から吐き出し鼻から吸い込みながら動作を組み合わせる方法を注釈説明している。眼科専門書の『審視瑤函』・癆瘵(肺結核の類)の専門書『紅爐点雪』の中では、六字訣を「動功六字訣延寿訣」といっている。しかし、現在の臨床では、六字訣を動作と組合せず、静功法として用いられるので、本節では動作の部分は詳しく述べない。
(1)古法の記載
「去病延年六字訣法」に載っているのは、以下のとおりである。
①総訣
肝病で嘘字を念じて息を吐くときには、目を力いっぱい見開き、
肺病で四字を念じて息を吐くときには、両手で天を押し上げ、
心病で呵字を念じて息を吐くときには、両手を交替で片方ずつ天を押し上げ、
腎病で吹字を念じて息を吐くときには、腰を下ろし両手で膝を抱え、
脾病で呼字を念じて息を吐くときには、必ず口をつぼめて息を吐き出し、
三焦に熱がやどればあおめけに寝るか横向きになって喜字を念じ息を吐き出す。
②分字訣
吹腎気訣
腎は水病であり生門を主り、
病があれば痩せて弱々しく顔色は暗く、
眉を潜め耳鳴りし黒く痩せるを兼ねる。
吹字を念じれば邪たちまちにして逃げる。
呵心気訣
心の源が煩躁したら急いで呵字を必ず念じる。
この法は神に通じこれに過ぎるものはない。
喉内に口瘡が生じ同時に熱病があれば
この法によりたちまちにして安らかになる。
嘘肝気訣
肝は青龍を本としその旺んになるのは春である
病が去来するときに酸辛の味を好むようになる。
眼中が赤色で多涙を兼ねるものは嘘字を念じれば、
すうぐに病が去り効き目があらたかである。
四肺気訣
四四を多く念じれば口涎が多く生ずる
胸膈が煩満して上焦に痰があり
肺に病あればすぐに四字を念じる
これ(四字訣)を用いるとすぐに自ら安んじる。
呼脾気訣
脾宮は土に属し太倉と号し、
痰病でこれ(脾字訣)を行えば薬方に勝る。
潟痢腸鳴があり同時に水を吐くものは、
急いで呼字訣を調べれば災いとなるのを免れる。
喜三焦訣
三焦に病あれば急いで喜字を念じる
古聖は(三焦訣を)最良の医療と言い置いている。
通じさせてふさがりを取り除くには、
この方法によらずして何を知ることができようか。
③四季却病(病を斥ける)歌
春嘘字を念じれば明目し木が肝を扶け、
夏至呵字を念じれば心火自ら閑まる
秋四字を念じれば必ず肺金を潤し、
腎吹字を念じいればただ坎(腎)中の安のみを求め、
三焦喜字を念じれば煩熱を取り除き、
四季呼字に長ずれば脾は餐(食事)を化す。
決して声を出してはならず口耳で聞く
その功は保神丹よりも特に勝る。