古歩道│汚染された血液製剤①

意図的に汚染された血液製剤①
薬害エイズ事件でいうならば、基本的に日本側の問題ばかり注目されてきた。
しかし、そもそもの問題は、血液製剤の製造過程で、なぜ、あれほど多くのHIVウイルスが混入することになったのか、実はこちらのほうがはるかに重要なのである。
先ほども説明したように、非加熱製剤はウイルス汚染のリスクがある。とはいえ、エイズ騒動が起こた時点では、それほど汚染のリスクは高くなかった、最初のエイズ患者が認定された1981年、感染の中心地はアフリカであり、アメリカの場合でも注射を使いまわす麻薬中毒患者、あとは同性愛者、とくに男性の肛門性向による血液感染が中心だった。1980年代半ばでも、アメリカ本土でキャリア(感染者)は数万人レベルでしかなかった。ちなみにHIVキャリアは、WHO(世界保健機関)の発表では2004年で全世界5000万人である。B型肝炎ウイルスは世界で3・5億人、日本でも13万人以上が感染している。もともとHIVキャリアは、他のウイルスに比べて圧倒的に少ないのだ。アメリカで売血による血液を買い付けたにせよ、限定的な拡散だったことを考慮すれば、ある程度のチェックで、十分、感染させずに対処できたはずなのだ。わかりやすく言えば、麻薬中毒者は排除する、ゲイの中心地では採決しない、これだけで相当、効果は出る。逆に言えば、わざと麻薬患者やゲイたちから積極的に採血でもしないかぎり、1980年代初期の段階で汚染のリスクは、それほど高くなかったのだ。
つまり、まともに製造していれば、HIVに汚染された血液が当たる確率は低かった。ましてや数年タームの使用で血友病患者の4割に相当する1800名以上がキャリアになるなど、それこそ天文学的な確率となる。ありえないレベルの話なのだ。
となれば、こう考えたほうがわかりやすくなる。
アメリカで血液を集めた段階で、わざとエイズウイルスに汚染した血液を使用して、わざわざ特製の「HIV混入非加熱製剤」を作り、それを日本の血友病患者に使用させた、と疑いが出てくるのである。そう考えれば、医師、メーカー、役人たちが「汚染」を知っていて使用に踏み切ったことにも辻褄が合ってくる。
綿密に計画された「陰謀」という疑惑が浮かんでくるのだ。

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