言霊百神│天津磐境①

天津磐境(先天十七言霊)
先天十七神の意義についても少し述べてみよう。カントは次の如く説いている。「知識が経験と共に始まるのはそれが経験から生ずると云う意味ではない。知識の材料は経験によって与えられるが、その本質たる客観性は経験からは派生せられない。斯の如き先天的要素を認識の形式と名づくれば、先天とは要するに認識の形式を意味するに他ならぬ。従ってそれは第一にそれ自ら絶対に確実にして普遍的に妥当なるものでなければならぬ。第二にそれは如何なる経験にも基づかず、自ら独立の根源を有せねばならぬ。形式の根源は純粋主観にあって経験にはない。この純粋主観は先験的統覚である」(『岩波哲学辞典』)
これが西洋哲学で云うアプリオリの意義の大凡であると思われる。東洋の儒教、仏教及びキリスト教で説かれる先天の意義とはだいぶ隔たりがある。経験智から出発して人間の中に活動している神の属性である先天の内容を思惟の根本形式として、範疇として探索しようとするのがアリストテレスよりカントに及ぶ西洋哲学である。

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