かれ(故、)左の御髻(御みづら)に刺(さ)せる湯津爪(津間)櫛の男柱一箇取り闕(か)きて、
一つ火(一火)燭(とも)して(、)入り見ます時に
湯津は五百箇の略、爪櫛は髪(神)を櫛削る道具で、湯津爪櫛は音図のことである。音図は櫛の歯の様な形になっている。櫛名田姫などとも云う。左の御髻とは音図の向かって右方。男柱一箇はアオウエイである。これに対して雌柱はワヲウヱヰである。アオウエイは主観的霊性(生命の樹)であり、雌柱は客観的知性(知識の樹)であって、一火とはそのアオウエイのことである。この主観態の中でも特にア言霊は生命の直接的な流露である感情であるから、黄泉国の煩悩に泥(なず)みたがり、その混沌の世界に流転輪廻したがる心である。一火とはアオウエイの五つの灯火の中の特にアである。前述の殿謄戸(とののあがりど)と同じ意味で若い感情である。「今、世人、夜一片之火とぼすこと(火)を忌む」(『日本書紀』)とあるのは主観的感情だけで行動してはならぬと云うことである。神社神道の祭祀では必ず灯明は二基ともす。
言霊百神│黄泉国⑫
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