然し『古事記』には述べられていないが、月読命、須佐之男命にも此の麻邇に代わるべきものが与えられてある。すなわち月読命に授けられたものは概念と文字(漢字)である。須佐之男命に授けられたものは数の原理である。その昔、伏羲が日本に来て神道を学び、天津金木の法を伝授されたと歴史に伝えられるが、その法は直接言霊を組立てたものではなくて、言霊を数に置き換えたものであった。すなわち河図洛書である。天津金木の実際はすなわち『易』である、是等の概念法、文字法、数法から東洋の哲学が起こり、数法はやがてヨーロッパの科学に発展して行った。