十六夜(いざよい)

 頭脳の先天構造を指示する古事記の神名にちなんで日本語の一、二の言葉の語源について話をしましょう。
 十六夜と書いて「いざよい」と読みます。夜の宵に通じます。けれど十六はどう考えても「いざ」とは読みません。この造語が古事記の神名と関係があると言ったらびっくりなさる方も多いのではないでしょうか。
 前の章で引用した古事記神代の巻の「天地初めて」の章の全文をご覧下さい。第1番目の天の御中主の神から数えて16番目に伊邪那岐の神が出て来ます。伊邪那岐の神とは言霊イを指し示す神名で、言霊イとは人間の創造意志の宇宙のことです。頭脳の先天の中に、意識が芽生え、次第に条件が整って来て、終りに16番目に創造意志が「いざ」と立ち上がって、目に見える現象である子音を生みます。16番目のいざの夜、そこで16番目を「いざよい」と言うことになったのです。
 昔、鯨のことを「いさな」と呼びました。先の章で人間の創造意志である言霊イは、母音であると同時に父韻として展開し、一切の現象を創造するきっかけともなり、その上に言霊の働きとして万物の名前を付ける働きを持つ人間生命の根本であり、親音と呼ばれ、宗教で創造主神と呼ばれているもの、とお話しました。いざの神は偉大な創造主神です。
「いさな」の「な」は魚の意です。現在でも岩魚で「いわな」と呼びます。海中で最も大きな動物である鯨を偉大な創造主の伊邪那岐の神のいざの魚「いざな」と昔の人は呼ぶようになりました。「いさな」はその転訛です。「鯨は魚ではない、獣の筈だ」などと言わないこと。昔の人は鯨を魚だと信じていたのです。

2019年9月
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