昔、崇神天皇の時に言霊の原理は人々の意識から消えていくよう仕組がとられ、将来、時が来れば再び人々の意識に甦るよう色々な施策が行われた。
先に、神社の拝殿の前で鳴らす鈴の意味について説明しました。鈴の形は人間が言葉を発している口に形どられたもので、その音は口より出る言葉の言葉である言霊なのであり、それを拝む対象の神様の実体なんだよ、と暗示したものでした。それなら御神前で打つ二拍手は何のためか、それを説明しましょう。
拝殿前の鈴と同様、拍手も「これからお詣りしますから、神様どうかよろしく」と神様の眼を自分の方に向けようとするためのものではありません。言霊のことを表徴した動作なのです。言霊の原理のことを昔は、「フトマニ」と呼びました。漢字を当てますと「太占」または「布斗摩邇」となります。フトマニのフトとは二十の意味であり、マニは言霊のことです。全部で二十の言霊ということになります。二十個の言霊が何故言霊全体の原理という意味になるのでしょうか。
五十音図を御覧下さい。横の十行のうち濁点が付けられるのはカサタハの四行です。他の行には濁点を付けることは出来ません。濁点を付けられるカサタハの四行の音は全部で二十あります。この二十個の音が言霊五十音全体を代表する音とみなして、二十個の言霊(マニ)で言霊全体の原理・法則の意味に使っているのです。何故カサタハの四行が言霊全体を代表することになるのでしょうか。
再び五十音図を御覧下さい。音図に向かって一番右の行は母音で示した「私」の内容です。反対に一番左の行は半母音で示される「あなた」の内容です。この「私」と「あなた」の間に八つの父韻という眼に見えない火花が飛び交うと現象が起きることは書きました。この八つの父韻は実は陰陽、夫婦、作用、反作用の関係にある二つ四組の父韻なのです。チイ、キミ、シリ、ヒニの四組です。四組のどれも、濁点が付くものと付かないものの組み合わせになっています。その各々が陰陽、作用反作用の関係にあるわけです。
言霊を勉強する立場からみますと、以上の濁点が付けられる四行、二十音の言霊が理解できますと、言霊に関する全部の法則が理解できたことになります。このカサタハの二十音が言霊の全体を代表する音だと昔の人が考えた理由がここにあります。
以上の話によって、二拍手の意味はお分かりのことと思います。片手で五本の指、両手で十本、それぞれが二拍手で二十本。この拍手でフトマニの二十を表徴していることになります。二拍手とは言霊の原理全体を現す動作なのです。
神社のご神前で二拍手するということは、祈願する礼拝の対象である神様とは、実は人間の精神の究極の構造である言霊布斗麻邇なのだよ、ということを示そうとして昔の人が後世に残したメッセージなのであります。また同時にその二拍手とは、神様の実際の姿である五十音言霊の原理と祈願する人の心とのリズムが合致して、願い事が成就するようにとの祈りの方法ともなるのです。
二拍手
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