唯一神明造り

 伊勢神宮の内宮と外宮の社殿の建て方(建築様式)を唯一神明造りと呼びます。その意味は全く文字通り「天照大神という神様の真実の姿を明らかに示す唯一の建築の形式」ということであります。そのような建築の様式が何故工夫されるようになったのでしょうか。
 それは先に何度か説明しましたように、人類最初の文明についで第二の物質文明の進歩を促進させるための一時的な方便として、精神文明の基礎となっていた言霊の原理を実際の政治に適応することを中止し、次第に人々の脳裏から忘れ去られるようにし、更に時が来た時、再びその原理が人々の記憶の底から浮かび上って来るよう、言霊の原理の内容を神宮の社殿の建築の様式で型取る様に設計したのです。
 言い換えて申しますと、将来物質文明が計画通り完成されようとする時、人々が昔言霊の原理があったのだ、ということに気付いて、その眼で伊勢神宮の正殿を見るならば、天照大神と尊ばれている神様の真実の精神内容とはこういう内容であったのだ、と後世の人々が理解することが出来るよう、神宮の構造を工夫して造ったのです。
 人間の心とはどういうものなのか、ということをすべて知り尽くして日本人の先祖が、人間の心の言霊による構造をそっくりそのまま形式として表した建物が伊勢神宮なのです。このような建築様式を唯一神明造りと申します。

2024年4月
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