言霊子音の自覚について①

 今まで母音ならびに父韻を自分の心で確認するのはどうしたらよいかを私の体験を例の説明してきました。母音と父韻が出揃いました以上、父母の生む子音はどうして確認するのかの話に当然なるわけであります。
 子音の自覚確認の方法を説明する前に、順序として、母音ウ・オ・ア・エ各次元に住んでいる人がそれぞれどんな手順を踏んで目的達成に進むか、それが八つの父韻の配列によって表わさされることの説明を終えておきましょう。住んでいる次元が違いますと、考え方言葉から、発想・手段・目的まで相違してきます。
 前に示しましたように、八つの父韻の頭脳内の働きを理解したうえで言霊母音ウオアエの各次元に住む人の目的遂行の心の運び方すなわち八父韻の配列を見ますと、比較的容易に理解することができます。言霊ウオアエ各次元に住む人がそれぞれどのような創造意志の配列のパターンを持っているかを横に並べて示したものです。古事記ではこの八つの父韻の配列を「時置師」と呼んで、それぞれの次元に住む人が、目的遂行のために時の経過に順って変化させる意志発動の変遷を説明しています。

 言霊ウの次元にうずくまって明け暮れ欲望の世界に没入している人は、自己の本性が実は広い宇宙そのものなのだという自覚がありません。それゆえその心の手順の初頭に立つべき母音の自覚を欠きます。母音の立つべき第一行を空白で示した所以です。次に八父韻配列の第一番目は父韻キで始まります。最初に母音の自覚がありますと、その行為は宇宙全体の具体化活動として父韻チから始まるはずですが、自己本来の面目(禅の言葉)の自覚がありませんのでその心の手順は自分の心の中に欲望の一つを掻き寄せること、すなわちキで始まります。
 以上人間の行動の手順をその行為の底に働く純粋意志の力動の状態によって捉えてのお話でありますので、八つの父韻を確認して頂けば自然に全体が理解することができるのであることを心にとめてお読み下さい。
 掻き寄せられた欲望の目的が心の中心に静まり不動のものとなります(シ)。その次にチが続きます。自己本来の面目の自覚があれば、この父韻が示す現象は宇宙全体または全身全霊などに関係したものとなるはずですが、いまの場合はこの自覚がありませんので、ここではチはその人間の経験・知識・信条といったものの総体を示します。自我欲望が決まれば(シ)、その達成のために経験・知識・信条等の全部(チ)の中から選ばれた名分(ニ)が煮つめられ、その名分に都合のよい言葉(ヒ)が生み出され、その言葉が他の人または社会に向かって(ミ)動く(イ)。しかしこの動きはとめどもない欲望の世界へ進展して(リ)極まることがない。父韻の配列がリで終わることは、欲望の目的と思われ追求されてきたものは次の欲望の発端なのであって、この世界が際限のない流転の相であることを示しています。心中のこれで完結という終わりはあり得ません。そのために最初の母音イと共に最後の半母音ヰをも欠如することとなります。欲の世界がややもすると目的のために手段を選ばず、否、目的のために他のいかなる次元の人間の性能も踏みつけにする傾向は、この父韻の配列の内の、キシチニがよく示しているところであります。欲望の達成のためには知識も人の感情も道徳心もすべては手段にすぎないのです。

 

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