気功鍛錬と経絡③

(3)気功と兪穴
 練功を行う際に、注意力は主として体表面にあるツボに向かって集中することが多い。たとえば頭部では印堂、胸部では膻中、腹部では神闕、関元、気海、命門、下肢では脚三里、大敦、湧泉等のツボである。練功中こうしたツボに注意を集中させていると、針灸や按摩のような直接刺激がないにもかかわらず、比較的長い時間をかけることによって、その点に一定の作用を引き起こすことができる。宋の張鋭著『鶏峰普済方』にある次の言葉は、ちょうどこのことを述べている。「意は気の使なり、意の到る所有れば、即ち気も到る」。
「気が到る」、これが効果を生む原因である。たとえば高血圧の患者には、臍部、下腹部、あるいは大敦・涌泉に注意を向けさせると血圧が下がり、印堂・百会に集中させると上がってしまう。これはわかりやすい例であろう。
 どこに意守すればよいかという問題は、昔からかならずしも一致していない。丹田に意守するもの、あるいは会陰、印堂、膻中とさまざまである。しかし重要なのは、中医理論に基づく弁証論治の考え方でツボを決める、ということであろう。
 臨床上、一般的には臍およびその周辺に集中することが多い。といのも臍のまわりには比較的ツボが多いからである。臍すなわち神闕から、下に向かって陰交・気海・石門・関元・中極と並んでいる。この部位について、『難経』八難に次のような記述がみられる。「十二経脈は、みな生気の原に係る。いわゆる生気の原とは、腎間の動気を謂う。これは人の生命であり、十二経脈の根本である」。
 生命の元であるこの場所を意守することにより、そこに内在する正気を強めることができるのである。