気功鍛錬と精・気・神①

(1)精・気・神の概念およびその相互関係
①精
 人体にある有用な精微物質のすべてを指しており、また人体を構成する基礎物質である。「夫(そ)れ精は、身の本なり」(『素問』『金匱真言論』)。
 歴代の医家たちの精に関する認識をまとめると、次の二つにある。
ⅰ先天の精、生殖の精…先天の精は父母から受けた天賦のものをいい、先天の精気からできている。またこれは男女の交媾によって作られ、生殖能力を有するので、生殖の精の一面ももつ。「人の始めて生ずるに、先ず精を成す」(『霊枢』経脈篇)
ⅱ後天の精・臓腑の精…後天の精は、水穀等の栄養物が化生したものであり、これは脾胃を通じて後天的に得られる。この精微物質は、ふだんは五蔵に分けて貯蔵されているが、腎が本拠地であり、そこで臓腑の精と呼ばれる。「五蔵は気を蔵して瀉せざるなり」(『素問』六節別論)、「腎は蟄(じっととじこもる意)を主る、封蔵の本、精の所なり」(『素問』六節蔵象論)。
 先天の精と後天の精は、互いに依存的であり、促進的である。先天の精は腎に貯蔵されているが、後天の精によって絶えずこれを補充し、養われていなければならない。と同時に、先天の精は後天の精を得るための基礎物質でもあるのである。

2024年4月
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