気功の基礎研究⑦

第3節消化器系
(1)胃の蠕動
吉林医科大学放射線科
 鍛錬した一〇例中七例に、休息時と比べて胃の蠕動運動が加速することが確認された。各例の胃蠕動波形時間は一〇例中八例で加速がみられ、その程度は八・四~四四・五%、平均二五・四%であった。また胃蠕動波形時間は一〇例中八例で加速がみられ、その程度は〇・四~六一%、平均二〇・六八%であった。
 胃には迷走神経(副交感神経)と交感神経が分布している。したがって胃の運動の変化は、これを支配する自律神経の変化としてとらえることができる。胃に入ってきた食物を蠕動運動で送り出す前に、食物を繰り返し十分に攪拌し、胃液と混合させて消化しやすいようにする働きは正常に回復し、自律神経の機能も調整されるのである。そこで鍛錬を行う際でも呼気に重点をおけば、いっそう胃の蠕動も強くなるといえる。また腹式呼吸や横隔膜の運動を強化することは、胃を含めた腹部内蔵に対して一定の按摩作用をもたらす。

(2)横隔膜の活動と胃の位置
上海第二結核病院
 三六例について、気功治療を行う前に横隔膜の上下の振幅が平均三㎝であったのが、二か月の鍛錬後、平均六㎝になった。また六例については横隔膜の上下運動に伴って胃が昇降することが確認され、呼気時に胃は上に動き、吸気時に下に動いた。胃の大弯下端レベルで測定したところ、呼吸時の昇降幅は平均九・七㎝であった。

上海虹口区中心医院放射線科
 一〇例について横隔膜運動描写器を用いて測定したところ、一例は鍛錬前二・五㎝だったのが、練功中に最大九㎝の振幅となった。残りの九例にも増加がみられ、三・四~六㎝、平均五㎝であった。
 横隔膜は胸腔との間を隔てている。横隔膜が下がるときは腹腔内の臓器が下方に圧迫され、その結果前腹腔が前に出る形になる。横隔膜が弛緩して元の位置に戻れば、腹腔の弾力で内蔵も元に戻る。気功を鍛錬することによって、胃の働きが促進されるのは、この横隔膜の上下運動が強くなることから生ずる胃への機械的刺激とも関連があると思われる。さらに横隔膜の動きが大きくなることは、肺の呼吸量の増大にもつながる。

2019年12月
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