気功の基礎研究⑨

第4節循環器系
(1)心拍数
重慶医学院生理教研室室
 一〇例について鍛錬前に一五分間呼吸を整えさせた後心拍数を測ったところ、平均五八・三回/分だった。三〇分間の気功鍛錬中、心拍数は減少し、減少数は平均五・四回だった。また九例に対し、練功前、練功中、練功後に寒冷刺激(六度の冷水に三〇秒間左手をつける)を加えて心拍数の変化を調べたところ、七例に寒冷刺激による心拍数の増大の方が練功中のそれより大きく、二例はその反対であった。
 心臓は一分間に平均七〇回拍動している。心臓は交換神経と副交感神経によって支配されている。交感神経は心拍を増強し、速めるように働き、副交感神経(迷走神経)は心拍を遅らせるように働く。
 したがって、鍛錬中に心拍数が減るということは、心臓にいっている迷走神経の緊張が高まり、交感神経の緊張が相対的に減少していることの反映であると考えられる。さらに寒冷刺激による心拍数への反応は、心臓の交感中枢の活動が増加した結果と考えられるので、練功中の寒冷刺激による心拍数の増大が練功前と練功後に比べて低かったことは、練功時に心臓の交感神経が抑制されていることを示すものである。

(2)血管運動
上海第一医学院
 鍛錬中は血管運動曲線がなだらかになり、さらに血管が拡張した。これは高血圧の患者でときに顕著だった。鍛錬時は呼吸運動(曲線)と血管運動(曲線)に、相応する変化がみられ、吸気時に血管は収縮し。呼気時に血管は拡張する。

重慶医学院生理教研室
 気功鍛錬中の血管運動を観察するため、患者に内養功と松静功を行わせたところ、その半数以上に、手の毛細血管の拡張がみられた。
 血管系は血管運動中枢によって支配されており、その神経は交換神経である。血管の波動性はある程度それの支配中枢の不安定性を表すと考えることができる。したがって、鍛錬することにより血管の運動曲線がなだらかになるのは、鍛錬を行っている状態下では血管運動中枢の興奮状態も比較的おだやかになるためであると思われている。また血管拡張も、交換神経が抑制されたことを示している。

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