気功の基礎研究⑫

第5節代謝・内分泌系
(1)代謝率
上海第一医学院生理教研グループ
 五例を七回にわたって観察したところ、練功時の代謝率は基礎代謝に比べて、平均一九%低くなることがわかった。最大のものは三九%の低下をみた。

哈爾濱市太陽島工人療養院
 二七例に臥功と座功を行わせたところ、練功前と同じ状況下において、カロリー消費量が基礎代謝と比較して明らかに低下することがわかった。臥功が三三・二%、坐功は二七%(平均)であった。ただし站功の場合には増加がみられた。
 代謝率とは、人の熱量(カロリー)代謝を表す値をいう。基礎代謝率ともいい、人の「基礎的」状況下における代謝率をさす。基礎的状況とは、覚醒しており、活動状態がもっとも低い状態のことである。このとき、心臓・呼吸・消化管等の内蔵の活動性は最も低く、肉体的・精神的にも安静状態にある。一般に明け方、じっと横に伏したまま、できるだけ思考を止め、室温二〇度に保持し、刺激を避けた状態を「基礎的」条件とする。代謝の過程では、やはり神経系によってその調和が保持されている。
 代謝率が低下し、基礎代謝をも下回るという結果から、練功を行っているときの人体は、あらゆる面で消耗が減少し、交感神経の中枢が抑制されていることが説明できる。

(2)血糖値
上海第一医学院生理教研グループ
 早朝、空腹時にブトウ島百グラムを服用し、鍛錬のあと血糖値を測定したところ、その最高値は服用後眠ったもの、および対照実験の血糖値のいずれと比べても、低い結果が出た。

重慶医学院生理教研室など
 気功の熟練者二例について、ブドウ糖を服用して鍛錬を行わせたのち、各々の血糖値を時間を追って測定した結果、その増加量は、横臥で休息をとらせた者の同時期の値と比較して、ともに下まわる値を示した。
 血糖値は血液中のブドウ糖濃度を示すものであり、その代謝は神経と内分泌腺によって調整されている。交感神経が興奮しているときは、肝臓に貯えられているグリコーゲンの分解が促進し、アドレナリンも盛んにグリコーゲンをブドウ糖に分解するように作用するため血糖値は上昇する。迷走神経が興奮すると、反対に膵臓から出るインシュリンが働いてグリコーゲンの生成を促すので、血糖値は下がる。
 気功の鍛錬を行うと、ブドウ糖を服用したにもかかわらず血糖値が増加しなかったというこれらの実験結果から、気功には血糖の調節機能を活発化させる作用があることがわかる。グリコーゲン合成能力が高まり、ブドウ糖に分解されにくくなっていると推定される。しなわち迷走神経…アドレナリン系、脳下垂体…副腎皮質系の働きが相対的に低下していると考えられる。

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