気功の方法…意念の鍛錬⑥

(4)練意の原理について
①大脳皮質、神経系統
 人が物を考えたり認識したりするのは大脳の活動によるが、これは人体内部と外部環境の事物によって決定される。つまり物質が意識を決定するのである。ところが、思考や大脳皮質の活動は、逆に人体の器官の生理活動に影響を与えることがある。たとえば、潰瘍、高血圧症、神経衰弱など多くの疾病は、大脳皮質の活動の失調と関連しあっている。また病態器官も大脳皮質の活動に影響を与えて、悪循環を形成する。ところで入静時における脳電図や筋肉運動クロナキシーなどで得られた資料によれば、大脳皮質は気功中の錬意によって主動的な保護抑制状態におかれ、そのことによって大脳皮質の正常な機能が次第に修復、回復されるのだという。だからこそ、気功の錬意がこれらの慢性疾患の治療に有効であるといわれるのである。
 されに錬意入静のとき、神経中枢、特に交感神経が抑制状態に置かれていると想像できる。このことは副交感神経系統の機能が相対的に強まっていることを意味している。多くの観察から証明されるように、練功時には胃腸の活動が増進し、消化吸収機能が改善している。このことは、単に胃腸疾病に直接有利であるだけではなく、全身の栄養状態も改善する。

②意守の部位と治療効果
 意守する部位が違うと作用や治療効果も異なる。たとえば高血圧症の患者が下腹部を意守したときには、気血が下降した感覚があり、呼吸は穏やかになり、頭がはっきりし、血圧も相対的に下降することが観測されている。鼻の部位を意守すると、血気が上昇するなどの現象が現れる。このような作用は、おそらく神経の生物電気の作用なのかもしれない。現代の生物電気の研究から、意念を身体のある部位に集中すると、そこに電流が発生することが証明されている。安静な状況のもとである部位に集中すると、その部位の神経に必ず興奮が発生し、誘発電位による誘発電流が生まれ、刺激作用がおこると想定することもできる。中国医学の経絡学説理論によると、ツボ自身は、「諸処の疾病を処し、虚実を整えるための」刺激部位、つまり疾病を治療し生体の健康を増進するために用いる刺激部位であるので、疾病を予防治療する作用がある。また一方では、ツボは経脈と互いに連絡しあっており、しかも「十二経脈は内では臓腑に属し、外では支節(四肢百節)に連絡している」ので、臓腑の機能を改善調整して治療作用を発揮するのに有効である。