気功の方法…放松功①

第5節放松功
 元の上海市気功療法所は一九五七年に臨床実践と結び付け、上海中医外来の気功講座における蔣維喬のいくつかの失敗例の教訓を総括した。この総括から、練功指導では、練功者が緊張しないようにしなければならず、静功では姿勢の選択にせよ、意念の集中と運用にせよ、呼吸の調節にせよ、「松(ゆったり)」の状態に着眼すべきであり、その鍛錬では「放松」(リラックス)から着手しなければならないと結論づけた。このため、臨床で広く採用され、かつ有効な、弊害のない静功の功種を整理し、これを「放松功」と名づけた。
 放松功は順序だててリズミカルに身体各部に意識を集中し、「松」の字(ゆったりの意)を心の中で念じながら、次第に筋肉・骨格を弛暖させ、全身を自然に、軽快に、気持ちのよい状態に調整し、心と身体の緊張状態を解きほぐし、緊張と弛緩のバランスをとるものである。同時に、注意力をしだいに集中させ、雑念を排除し、心を落ち着かせることにより、血気を活発化し、臓腑を協調させ、経絡を通じさせ、体質を強め、疾病を予防するのに役立てる。
 放松功は、健康な者や一般の慢性病患者に適する。初めてのときは、気功指導者の指導の下に行うとよい。放松功を練功の入門方法として用いてもよい。また放松功の意念を練功の全過程に貫徹させ、練功の質を高めることもできる。高血圧症、胃腸疾患、緑内障、喘息、神経衰弱などの慢性病では、放松功を主な鍛錬法としてもよい。
(1)操作方法
①基本方法
三線放松…身体を両側、前、後の三本の線に分け、上から下へ順々に放松(リラックス)させていく。
❶第一線…頭の両側→首の両側→両肩→両上腕→両側の肘関節→両前腕→両側の手関節→両手→十本の指
❷第二線…顔面→首→胸部→腹部→両腿の前面→両側の膝関節→両すね→両足→十本の趾
❸第三線…後頭部→後頚部→背部→腰部→両腿の後面→両側の膝窩→両側のふくらはぎ→両足→両側の足底
まず、一つの部位に注意を向けてから、「松(ゆったり)」を心に念じる。さらに次の部位に注意を向けてから「松」を心に念じる。第一線から始め、第一線がリラックスしたならば、第二線をリラックスさせ、さらに第三線をリラックスさせる。各線をリラックスさせるごとに、一定部位つまり止息点で軽く一、二分間意守する。第一線の止息点は中指、第二線の止息点は第一趾、第三線の止息点は足の土踏まずである。三本線一循環をリラックスさせてから注意を臍部(あるいは別に指定した部位)に集中させて、臍部を軽く意守し、安静状態を三、四分間保つ。一般には、一回の練功で、二、三循環させてから、少し休み功を終える。「松」を心の中に念じているときに、ある部位に「松」の感じがないか、「松」が十分でなくとも、焦らずそのままにし、順序に従い、次の部位をリラックスさせていく。「松」の字を心の中で念じて声に出さずに速度や程度を把握するのは、自分で多く体得する必要がある。用意が速すぎたり重すぎたりすると、頭部の緊張を引き起こす可能性があり、軽すぎたり遅すぎたりすると、頭がぼんやりしたり眠くなったりする。