気功の方法…因是子静坐法①

蔣維喬の著した『因是子静坐法』は、一九一四年に初版が出て、一九一七年に再販された。さらに一九一八年に『因是子静坐法続編』が出版された。蔣維喬自身が語ったところでは、この二冊の本はすでに数十版を重ねたという。当時この二冊は比較的広範に普及していたようである。一九五六年五月に上海衛生出版社は『中国的呼吸習静養生法』を出版した。一九五七年末には、香港で彼の『世間禅』というパンフレットが出版された。このほか蔣氏は、静座法を家で教えたり、通信講座も行っていた。
蔣氏自身は幼い頃から病気がちであり、青年期には肺病を患い、彼自身が語ったところでは、『医方集解』に附してあった『勿薬元銓』で、小周天の方法を習い練功していたという。中年以降に、仏式の練功に改めた。まず天台宗の止観法を修練し、後に密教にもとづく練功を行うようになった。密教は仏教の中では神秘性のもっとも濃厚な一派であり、日本に伝わったものを東密と呼び、チベットに伝わったものを蔵蜜と呼んだ。蔣氏が修練したのは蔵蜜であり、その内容には一八道次第・開頂法・大手印・多宝閣妙臓法などがある。
蔵蜜の方法は神秘性が強く、本節でいう因是子静坐法には、この両者は含まれない。

(1)調身
静坐前の調身…静坐をしようとする人は、平時の動作は静かで落ち着きがなければならず、挙動は粗暴であってはならない。粗暴であれば気もそれに従って粗くなってしまう。心がうわついていると入静し難いので、静座する前にまず心を調和させなければならない。
静坐時の調身…ベッドが特製の腰掛けの上で、衣服をゆるめ、ゆったりと落ち着いて静坐に入る。まず両足を単盤(片あぐら)か、双盤(両あぐら)か、自然盤(自然あぐら)にして坐る。次に両手を安置するのだが、右手の甲を左手の掌の上に重ね、下腹部に近づけ大腿の上に軽く置く。それから身体を左右に七、八回揺り動かし、姿勢を正す。背骨は反っても曲げてもいけない。頭や首も正しく保ち、鼻と臍を結んだ線が一直線になるようにし、うつむき過ぎたり、反り過ぎたりしてはならない。口を開き、腹中の穢気を吐き出す。吐き出してから舌を上顎に付け、口鼻からゆっくりと清気を三回から七回吸い込み、口を閉じ、歯を軽く合わせるが、舌は上顎に付けたままにする。両目を軽く閉じ、姿勢を正して静坐する。もし静坐が長引いて身体が前後左右に傾いたように感じたならば、随時そっと正す。
静坐後の調身…静坐が終わったら、口を開いて息を十数回吐き出し、身中の熱気を外に発散させる。それからゆっくりと身体揺り動かし、肩背・頭・首などを動かし、両手両足をゆっくりリラックスさせる。その後、拇指の背をこすり合わせて熱くなったら、両眼瞼をこすり、目を閉じてから、鼻の両側をこする。次に手掌をこすり合わせて熱くなったら、両耳をこすり、されに、頭部・胸・腹・背・腕・足から土踏まずまでこする。汗が乾いてから、随意の動作を行うようにする。