気功…常規保健功

常規保健功は十節あり、基本的には坐式・立式の八段錦に由来し、上海市気功療養所が整理して編み出したものである。動功の初心者はこの十節を基礎として、これに熟練し、しっかりと把握してから、体質と症状を結びつけてその他の動功を選ぶ。
①叩歯…上下の歯をカチカチと噛み合わせる。まず奥歯を二四回行い、続けて前歯を二四回行う。注意を集中しやすくし、歯を丈夫にし精を益す作用がある。
②攪海咽津…舌先で上歯の外側、下歯の外側、上歯の内側、下歯の内側の順に軽くかき回すように各九回動かす。左から始め右への順で行うが、下からを入れ過ぎてはならない。次に舌を上顎につけ、下の下に注意し、唾液が多くなり口中に溢れるようになったら、一回あるいは何回かに分けて飲み干す。胃腸を潤し消化を助け、口苦・口臭を改善する。
③摩腹…両手をこすりあわせて熱くなったら手を重ね(一般には右手を左手の甲の上に置く)、手掌の中心部を臍の周囲に置き、時計の方向に、小円、中円、大円をそれぞれ十二回描くように按摩する。胃腸の働きを調節する。
④浴面・鳴鼓…両手をこすりあわせて熱くなったら、両中指を鼻の両脇に沿って下から上に移動させる。他の手指も一緒にして額までこすったら両側へ分かれ、両頬を通って下りる。刑九回行う。顔面の気血の流れをよくし、感冒を防止する。
鳴鼓は、鳴天鼓、掩耳弾枕ともいう。両手で両耳を覆い、鼻息を九回数えてから、示指で後頭部をトントンと、計二十四回弾く。日常的に行えば、眩暈、耳鳴を防止できる。
⑤左顧右眄…両目でまず前方を直視する。次に頭を左に回して両目で右肩を見る。景六回ずつ行う。操作はゆっくり行う。頸の動きをよくする。
⑥擦腰…両手をこすりあわせ熱くなったら、背中を上から下へ腰の軟らかい所までこする。左手が下に行くときは右手が上に行くようにして、各二四回ずつこする。腰背のだるさ・痛みを予防治療する。
⑦双手斉伸開…両手とも拳を握り、検眼(拇指と示指とでできるくぼみ)を上に向け、胸の前正中に近づけてから、左右にゆっくりと開く。計二四回行う。肺気を強め、胸部苦悶感を軽減させる。
⑧転轆轤(轆轤とは滑車の意)…両手とも拳を握り、腕を伸ばし、手掌の中心部を下に向け、拳眼を互いに向き合わせる。
前に向け、船を漕ぐような回転運動を景十二回行う。上肢の関節の動きをよくする。
⑨左右托天(左右の手で天を支える)…片手の拳を腰に当て、もう一方の手を持ち上げ、眉の高さまできたときに手を返し、手掌を上向きにしながら、頭頂を超え、上腕をまっすくに伸ばしていく。同時に両手を挙げた手の手背に注ぐ。まず左手で行ってから右手で行い、両手を交替して五回ずつ行う。脾胃を整え、消化をよくすると同時に、上肢の関節をのびやかにする。
⑩双手攀足…坐って両足をまっすぐに伸ばし、つま先を上に向け、上半身を前かがみにし、両手で足をつかむ。一回つかむごとに、太腿を二回軽く叩く。連続して七回行う。筋骨をのびやかにし、腎を固め腰を強くする動きがある。
以上の十節の保健功は、平坐またはあぐらが主であるが、双手攀足以外は立式で行ってもよい。情緒を安定させ、動作に注意を払い、呼吸は自然に行うようにする。

2024年4月
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