東洋医学.05

気の概念

 気とは機能だけが存在し、目には見えないものといわれます。もともと古代中国の哲学思想から生まれた言葉で、気は宇宙を構成する基本単位の一つとされます。気が変化して万物を創造し、すべての事象が生まれます。つまり気が人体を作り、生命活動を維持しているとされます。
 人体の気は自然の精気、水穀の精微、先天の精のいずれかから生成されます。精気は呼吸により大気中から取り込まれる気のことです、水穀の精微は、飲食物の消化過程で生成される栄養源です。先天の精は生まれた時点で両親から受け継いだもので、腎に保存されており、腎中の精(腎精)とも呼ばれます。これは使用すると消耗していくものだが、水穀の精微が補充します。
 また気は、大きく宗気、営気、衛気、原気の4種類に大別でき、肺、脾、腎の臓腑で生産されます。これらの関係臓器に異常があると、気の循環が悪くなったり、気の量が不足するようになります。気は血、津液とならび、人体を構成する重要な要素として、生命活動を維持する基礎となっており、臓器、体の表面、血脈内などに広く分布しています。
 気は生命活動のエネルギー源であると同時に、活動を推進する作用をもちます。もし気が不足すれば。燃料不足になり、生命活動に支障が生じます。
 気の作用は推動、温煦、防御、固摂、気化という5つの働きに分類されます。推動作用とは、物質を動かす力のことです。人間の成長、臓腑の働き、血や津液の循環などは、気の作用によって推動されています。温煦作用は身体を温める作用です。人間の体温維持機能はこの作用のおかげです。防御作用は、衛気が担う作用で、外邪の進入を防ぎます。固摂作用は体液が漏出するのを防ぐことで、汗や尿などの排出量を調整します。気化とは、精、気、津液、血の転化を意味します。たとえば水穀の精微が、気に変わるのは気化作用の一つです。

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