遠藤喨及の指圧法…経絡指圧法.1
第一章「気」を見る
すごい生命エネルギー
気がついたら、あたかも目の前のコップが見えるように、相手の気の流れが、心にはっきりと映っていたのである。そして、その気の流れを指圧で整えたら、なんとその症状は、たちどころに消失した。
ものと心は別々という思いこみ
東洋では、古来より万物と心に共通する一つのエネルギーがあることが分かっていた。そして、これを「気」と呼んだ。「道」は自然の道理であるが、同時に精神でもあるというのがおもしろい。
「道」が分かる人、分からない人
“道の精神”を説く老荘思想とは、我を張らず、ものごとに執着せず、自然の心と一体となることを勧めるもの。
道とは、修養を通じて、我を捨て去って、自然の心を体得することが目的です。西洋のように、自我を確立する文化とは正反対なのである。
知識や技術では伝わらない
いくら知識を増やしたって、技術的な練習を何年やったところで、気は見えるようにはならないし、治療ができるようにはならない。師匠と同じ心境、つまり道の心を習得してはじめてできることなのである。
運命も「気」がつくっている
「気を見る」と言っても、目でものを視るように見るというわけではない。もちろん、目を通じて見ているのだが。あえて言えば、イメージで見るということだ。
気をコントロールするのは、私たちのイメージと言葉である。
自分で「気の流れ」を感じる法
内臓のはたらき(ここでは呼吸という肺のはたらき)と、からだの姿勢(ここでは猫背、前屈気味ということ)、そして心の状態(自閉的)とが、意味を持って一致していることに気づく。心身一如が、経絡を通じてはじめてはっきりと見えてくる。
すべての生命活動はここにある
経絡には六系統・十二経(正経)がある。「奇経」と呼ばれる、任脈・督脈などもあるが、生命活動のすべては、基本的にこれら六系統・十二経によって営まれている。
①肺・太陽経…呼吸や排泄などによって、外界との交流を行う。
②胃・脾経…食べ物を取り入れたり、消化を行う。
③心・小腸経…外界を自己のイメージに転換したり、食べ物を血液に転換する。
④腎・膀胱経…内分泌と自律神経系。意志力とも関係がある。
⑤心包・三焦経…循環器系。外界への適応も行う。
⑥肝・胆経…解毒や消化線の分泌、全身の関節などに関係。決断力とも関係がある。