東洋医学.25

八綱弁証で証を.3

⑤陰証と陽証
 陰陽学説では、陰陽の相対的バランスが失調し、偏盛または偏衰が起こることで病気になると考えています。
 疾病の発生には、虚証と実証で説明した正気と邪気が関係しています。正気には陽気、陰液と精血があり、邪気には陽邪と陰邪があります。陽邪が作用すると陽が盛んになり陰を損傷して熱証が表れます。また、陰邪が作用すると陰が盛んになり陽を損傷して寒証があらわれます。陽気が虚となり、陰を統制できなくなると陽虚陰盛による虚寒証となり、陰気が虚となり陽を統制できなくなると陰虚陽亢による虚熱証になります。
 そのため、治療のポイントも陰陽の相対的なバランスを回復させることに焦点が置かれます。たとえば陰虚陽亢による虚熱証の場合は、過剰な陽を抑制するために「熱なればこれを寒す」という方法を用います。同様に陽亢の場合、陰盛の場合にはそれぞれ陰、陽を補います。
⑥陰証と陽証の特徴
 陰証と陽証は八綱弁証を総括する項目で、これを診断に応用すると、すべての病気を病理の性質によって陰陽に分類できます。
 陰の属性をもつ証候が陰証で、裏証・虚証・寒証がこれにあたります。例えば顔色が悪い、四肢が冷え、無気力、食欲不振、尿精、下痢気味、舌質痰胖、脈が遅いといった症状が表れます。また、病状として整体反応に活気がない、脈が遅くて弱いなどです。
 陽の属性をもつ証候が陽証で、表証・実証・熱証がこれにあらります。そのため、発熱、躁動(いらだって動き回る)、呼吸・語勢が荒い。小便が赤い、便秘気味、舌質は紅が多く、脈が強くて早いなどの証候があります。症状としては生体反応が高まり、強くなっています。
 陰陽の項目は、このように八綱弁証を総括するが、実際には表裏、虚実、寒熱の三段階・六項目について検討し、証を立てます。

2024年4月
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