整体と気功と言霊の原理.29

遠藤喨及の指圧法…経絡指圧法.4

第四章東洋医学、常識の大ウソ
「王様の耳はロバの耳!」
 ツボの存在に気づき、これを研究することで、いつしか気や経絡が見えるようになり、「証」という、東洋医学伝来の診断技術を身につけることができるようになった。
 判別性感覚と原始感覚は、交感神経と副交感神経のように、シーソーの関係にある。だから判別性感覚が強ければ、原始感覚が弱くなる。
 世間一般にツボの名称で知られているものは、東洋医学の常識のウソの一つだと思っている。
「悪いところを治す」幻想
 東洋医学は、証(診断)を立てて、これに随うのがタテマエ。
 証を分かりやすく言うと、「どのようなはたらきかけによって、その患者の生命が全体性を取り戻すか」ということ。全体性というのは、自然ということで、健康の別名である。
 一方、西洋医学は、いわゆる「悪いところを治す」医療だ。だからその診断は、「どこが悪いのか」という犯人探しである。そして、その悪い“病変部”を手術で切除する。あるいは“不足物質”を、体外で化学合成した薬品によって補うのである。

東洋医学の診断とはどういうものか?
 まず、病気の原因を、気という、心とからだを含んだまるごと全体の問題として診る。すると、その診断は、先に述べたような「どこが悪いのか?」という西洋医学的な設問によっては立たない。「どのような刺激を与えたら、患者の生命は自己治癒を起こす反応をするのか?」、あるいは、「どのようなはたらきかけによって、患者の自己治癒の気は導かれるか?」というような、みずからへの問いかけとなり、その診断は「治療法の選択」となる。
 西洋医学が、患者のからだをものとして、客観対象として見るということは、診断を下す医者は観察者でしかないということだ。実験する科学者と同じ。しかし本来、東洋医学は、そうであっては成り立たない。患者に対する働きかけという、治療法の選択が診断なのだ。それは東洋医学の治療が、医者の行為と、これに対する患者の反応という関係性の中にしか成り立たないからである。
「気の歪み」を見る
 患者は「どこか身体の部分が悪い」のではない。ならば、患者を前にした治療者にとって、診断とは「自分は何をなすべきか?」という、治療者自身の問題として、跳ね返ってくる。

ツボが生じやすいところ
 経穴として定められたところは、ツボが生じやすいところであり、その時代における、ツボの生じる可能性の高いところだったのであろう。
 人間の気の歪みは、時代によって変わる。
漢方医学のトラウマ
 日本の鍼灸界には。経絡の否定論者が七割いると言われている。言い分としては「経絡は、科学が未発達であった古代人の迷信」とのことである。
指圧が認められるいきさつ
 指圧と言う名称は、東洋医学の伝統的なものではない。大正時代(大正九年以後)につけられたもので、玉井天碧氏が『指圧法』を著したのが最初である。
もう古典経絡図では間に合わない
 明治以降の東洋医学が、西洋医学の裏づけを必要としたという歴史である。

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