整体と気功と言霊の原理.32

遠藤喨及の指圧法…経絡指圧法.7
 虚の経絡は、治療的観点から言えば、邪気を排出しようとしている経絡(気の流れ)となる。たとえば、身体には悪いものがあれば、吐いたり下痢をしたりする。気の世界でもこれは同じことで、心身は常に邪気を排出しようとして働いている。その邪気排出の役目を担っているのが、虚の経絡なのである。
 通常、虚の経絡がどのように邪気を排出するのかというと、他の経絡を「実」にして、これになんらかの動きをさせる。ちょうど心に何か不安なり欲求、あるいはストレスがあれば心身のどこかが緊張し、この緊張の解放を求めてなんらかの行動をするようなものである。この緊張のエネルギーが「実」である。
 そして上手くいけば、この行動が不安なり欲求を解消して、邪気を排出するのである。また、“陰陽虚実”という言葉があるが、虚は「陰=欲求」であり、実はこれを満たすための「陽=行動」である。
 虚(の経絡)は、虚空という老荘思想、中国哲学の用語から来ている。難しく言うと、これは大自然の本質である“遍在性”を意味している。つまり、果てしなくどこまでも拡がっているもの。どうして果てがないのかと言うと、それには距離がないからである(距離は人の意識がつくる)。
 これを、ただの哲学上の話かと思われるかもしれないが、そうではない。虚の経絡は事実、虚空、大自然に通じている。それが証拠に、虚の経絡を圧すと、受け手は「全身がすーっと解放されるような」不思議なリラックス感を味わう(この反応は虚になった経絡だけの特徴で、他の経絡では決して出ない)。それは、この経絡を通じて、邪気が大自然に解放されるかである。

「虚」へアクセスしてみる
①まず「虚」と言ってから、前腕を横切るように指をすべらせる。なるべく無心に。虚がどこかを探そうとせずに行う。
②すると指が自然に止まる
③指が自然に止まったところが、虚にアクセスできるスジだから、受け手が感じていることを想像しながら圧していく。ある程度の深さまで圧し、受け手に、どう感じるかその反応を聞く。
④受け手は「全身がリラックスする感じがする」と答えるはずだ。
 まず一般に、経絡は体表、ないし体表に近いところにあると考えられている。古典では「分肉の間を走向する」と表現されている。経絡図では二次元的に表現せざるを得ないので、イメージ的には、どうしても“経絡は体表にある”という感じになる。
 もちろん経絡は、伸展した時など体表にあらわれるのだが、これの本体はもっと深い。どれくらい深いかと、通常2メートルくらいだから、肉体を超えている。つまり、ほんとうの経絡は肉体より深いところにある「気のからだ」に存在している。