整体と気功と言霊の原理.35

遠藤喨及の指圧法…経絡指圧法.10
第二ステージ…気の拡がり
 第一ステージにおける、ツボ指圧に習熟していくうちに、いつしか気が見えるようになってくる。気の見える最初の段階が、この項目のテーマです。
 気の広がりが、どのように見えるようになるのか、以下三つの要約されます。
①ツボが全身を含むというイメージで圧す。
②深い共感によって、ツボの底にまで到達する。
③共感的想像を維持して、瞬間ごとに変化する受け手の気(底)に指圧を合わせる。
①の“ツボが全身を包む”というのは、ツボのもつ「空間的」な側面だ。また、③の“共感的想像によって、変化していく受け手の気に合わせる”というのは「時間的」な側面です。両者は不可分な関係です。
 私たちが普段意識する「からだ」というのは、部分だけです。全体ではありません。全体というのは、いつも、瞬間ごとに変化していて、意識する事ができません。
 現実は、時間も「ときれない」し、空間も「切り取れない」(固定していない)。そしてそれが“いのち”であり、気です。だから、いのち=気は、ふだん意識できません。
 したがって、瞬間ごとに変化する全身がイメージできてこそ、“ツボが全身を含むというイメージ”で圧せるのです。でもこれを難しく考える必要はありません。たった二つのことを守ればよいのです。
 一つは、“受け手が感じていることを想像しながら”圧すこと。それとツボを圧している時間を“受け手に聞いて確認しながら”圧す。この二つです。
 ただし、圧している時間は、長すぎず、受け手の「もう、充分」と言われる前に、指が体表に上がるようにします。

第三ステージ…「望診」
 「望診で証がとれるようになる」というのは、早い話が、見ただけで経絡の状態が診断できるようになるということです。だから、相手の身体にまったく触れなくても、診断を行えるようになるのが、この段階です。
第四ステージ…虚のシコリ診断
 経絡診断が可能になっても、まだ望診までの段階では、虚の経絡のどこを圧していいかわかりません。もっとも1983年ごろまではそれでもよかった。なぜなら、患者の大半は、実の症状だったからです。
 実の症状というのは、気がそこに集中したために起こるコリや痛みなどのことです。これなら、手足の虚の経絡をある程度、強く圧すことで、取り去ることができました。だから、全身指圧の基本型を終えたあと、虚の診断をしたら、その手足の虚の経絡のひと通りを圧していれば、治療としてはそれで充分でした。
 やがて、虚の症状をもった患者が増えてきて、90年以降は、ほぼ全員(9割以上)が虚の症状と言うことになってしまいました。そうなると、もはや単に、手足の虚の経絡を圧しても治らなくなりました。
 症状が実の場合、痛みなどのあるところに触れる必要はまったくありません。しかし、虚の症状をもった患者に対しては違う。症状の周辺にあるツボを診てこれを治療すればいいことが分かってきた。またそのうち、ツボの奥にある、虚の経絡上のシコリ(虚のシコリ)の存在が見えてきたのです。
 先の述べたように、ツボ指圧をしていく中で、やがて圧反応によって気の広がりが見え、ついには望診で虚が見える心の世界が開かれます。
 そしてそこは、すでに主観と客観の一体となった気の世界、いわば絶対の境地です。浅いとか深いなんていう比較・相対を超えた世界です。だから、そんな世界に、より深い世界があることなど、通常は考えられません。
 ところが、さらに深い、いくつかの段階に分かれた気の世界があったのです。

2024年4月
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