整体と気功と言霊の原理.36

遠藤喨及の指圧法…経絡指圧法.11
第五ステージ…全経絡を発見
 増永静人師が文献で遺してくださった「虚のシコリ」より、さらに深い気の世界へ。
 私が指圧治療を始めた1980年ごろは、増永静人師が明らかにされた全身十二経で充分であった。よくある古典的な鍼灸の経絡図では、経絡は手足に六経ずつしかないが、師が独自に発見し臨床で確認された経絡は、全身に十二経がある。
 しかし、時代の変革期に入ると虚の症状が増え始めた。その結果、全身十二経だけではどうしても不十分なところが出てきてしまった。たとえば患者が苦痛を訴えるので、診てみると、その虚のシコリが、全身十二経では経絡が示されていないと言うことが起きはじめた。特に背部や臀部などにこうした症例が多かった。
 症状に虚のシコリを見つけ、これが何経に属するものであるかを調べていった。そして徐々に、全身二十四経の存在が姿をあらわし始めた。向こうから姿を見せてきたのである。
 一体どうしたら、このような虚の時代に、効果的な経絡治療ができるようになるのだろうかと、心を凝らしていたら見えてきました。
 たとえば、腕の経絡です。これが虚になって深く内向し、経絡が閉じてしまったとする。当然圧してもなんの気の反応もない。ところが、これとシンメトリカル(線対称)な反対の位置には、明らかに経絡の反応が出るのです。
 これを調べていくうちに、十二正経のすべてについて、そのシンメトリカルな位置に、反応系統を同じくするスジがあることがわかった。つまり同じ系統の経絡が、そこには存在していたのです。
 私はこれを「副経絡」と名づけた。実の症状が深くなると、虚の経絡に症状がでる。そして、それがまた深くなると、副経絡に症状がでることも分かった。
 当初は、全身十二経絡図で走向していないところに、虚のシコリがなぜ存在するのか分からなかった。しかしこれも、副経絡の存在が明らかになることにより、すべて説明がつくようになった。

常識はずれの効用
 気の経絡指圧で臨床に用いる経絡を、全身二十四経と呼びます。それは、増永静人師の明らかにされた全身十二経に、それぞれ副経絡が存在するからである。
「かつて増永静人師が、任脈虚や督脈実という証を出したことがある」との話を又聞きしたことがきっかけで、どうしても証の取れない患者に対して、任脈の治療をしてみたら、症状が取れたのです。
 だが、問題がないわけではない。というのは、任脈は身体前面の正中線にしか走向していない。だから腹部治療しかできないのです。それに当時は、腹部経絡が閉じている人も多かった。
 そんなとき、次の解決法が見つかった。「任脈は、身体前面の正中線にしか存在しない」という、古典に縛られた思い込みを捨てればよかった。
 ここでも、患者の虚のシコリは古典の記載を裏切って、頸部にあったり背部にあったりした。任脈もまた、身体前面の正中線だけに存在するのではなかったのです。
 任脈は、身体前面の正中線だけでなく、ほかにも二本あったし、後面にすら副経絡として二本あった。それだけではない。四肢にも三本も走向していたのである。
 督脈も同様である。前面にも四肢にもあった。
環状のスジも、らせん状のスジも
 ところで、虚の症状をつくっているのは、虚のシコリである。その次に、難問として立ちはだかるのは、虚のシコリが、必ずしも経絡上に沿ってあるとは限らないということです。
 その虚のシコリが、環状にできていることがあった。
 また虚のシコリが、らせん状にできているものもあった。

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