整体と気功と言霊の原理.39

遠藤喨及の指圧法…経絡指圧法.14
第八章「癒しの手」は最高の治療法
人間の手でできること
 この間に追求してきたテーマは、次の三つであった。
①人間の手ででき得る最高の治療法とは何か?
②疲れることなく、最大の効果をあげるにはどうしたらよいか?
③誰もが習得できるようにマニュアル化することができるか?
 そして三者は一体であり、その目的は一つであった。それは、より多くの人々がこの治療技術を身につけて、人々を癒されることであった。
自然療法の中心に
 増永静人師は、東洋医学史上、決定的に重要な位置を占められておられる。それは、師が全身十二経を発見し、指圧による独自の診断・治療の技術を体系づけられたからである。また、それまで指圧といえば、拇指のみを使う手技が多かった。指圧をやることで、拇指を痛めることもあった。それが経絡指圧が生まれたことにより、肘や膝なども使った全身操作になった。指圧が、より無理のない自然な手技になった。
 増永静人師の経絡指圧によって、手技が、かつての「導引・按蹻」がそうであったように、ふたたび東洋医学の中心として権威を取り戻すことが可能になった。になよりも東洋医学は自然療法なのだ。だから、薬も器具も使わない、人間の手で行う治療が、当然その中心でなければならない。
 もちろん、古代中国人が経絡を感じることができたのも、手技によってである。私としても、もし鍼灸師だったら、先に述べた気の段階を踏んでいけたかどうか、正直に言えば、無理だったのではないかと思っている。
 気の経絡指圧は、二十一世紀以降、東洋医学としてではなく、全医学の指導原理となっていくべきものと、私は信じている。なぜなら今後の医学は、アンドルー・ワイル博士(『人はなぜ治るのか』の著者)が述べているように、確実に心身の相互浸透性(心身一如)がキーワードになる。そして、心身一如を明確に解き明かすことができるのは、経絡だけだ。そして、経絡は唯一、手によってのみ実感できるようになるからである。
 また患者にとって、心身全体の癒しを実感することのできる医療は何か?それは、機械や器具によるものではない。医者の共感的な「癒しの手」による治療だ。これは、どんなに物質文明が進んだとしても、変ることはない。生命にとって、人間にとって、永遠に必要なものなのだ。
身体を硬くする指圧に決別
 気の経絡指圧の全技法、その理論と実際がほぼ成立したのは、邪気(第八ステージの気の世界)の存在が明らかになったころである。いまの時代に必要な指圧の技法と、その指導要領を、ありとあらゆる角度から研究し、検討し尽くした結果である。
 一般に、指圧とは指で体表を、物理的に圧すものだという考え方がある。これがそもそも間違いだ。肉体に物理的刺激を与えることが目的の指圧には、気も経絡も関係ない。東洋医学の根幹である経絡を土台としていない鍼灸を、東洋医学と呼ぶことができないように、そのような指圧も東洋医学ではない。
 すでに述べたように、指圧療法(という名称)が始まったのは、大正時代である。そのころ、この手技は「指でコリを押しつぶす」といった表現がとられていた。また、当時は西洋医学的な説明がなされなければ、人々も納得しなかったので、「血液循環法」などという名前をつけて行われた指圧もあった。
 しかし実際に効果的な指圧は、増永静人師も述べられているように、当時活躍していた指圧師たちの霊力とか気の力によるところが大であったと思う。それが物理的な力で行われたもののごとく誤解されてきた。だから、これらの指圧師たちの技術が、世代を超えて伝授されることなく、一代限りの名人芸で終わってしまった。そしていつしか指圧も、かつての按摩と同じように、物理的刺激を与えるだけの、慰安、娯楽の類に成り下がってしまったようだ。

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