遠藤喨及の指圧法…経絡指圧法.15
第一課程気の導引
「気の導引」とは気のトレーニングする方法のこと。
近代の特徴は、あらゆるものが専門分野の別れ、分断されているということである。もともと古代では、医学も、宗教も、音楽も、踊りも、一つのものであった。
古代中国においても、指圧の源流である按摩は、いわゆる「導引・按蹻」として、導引と一体不可分のものと位置づけられていた。すなわち、気を鍛錬することとこれを他に施すこととは、本来分かれるべきものではない。
この伝統は、現在でも気功法において、内気功・外気功として受け継がれている。柔道整復も同じだ。そして、この問題に気づかれた増永静人師は、晩年に経絡体操を考案されて発表された。
気の導引とは、七つの気の体操と七つの合気技(組み手)によって、構成されている。いずれも気の技法に必要な、気の原理を習得し、気の力を強くして、指圧治療の効果をより高いものにするためのものです。
第二課程気の技法による基本手技
気の技法は、気の経絡指圧における核となる技法である。超脈という邪気排出の経絡(スジ)を応用したもの。超脈を虚のスジの底へくっつけるような手技を施す。これによって邪気が生気へと転換したり、排出されたりする。受けると非常に快く、かつ満たされた感じがある。
この「超脈を虚の経絡の底へ」という気の技法を、基本指圧の型に基づいて、およそ十分から二十分程度行う。これが第二課程である。
第三課程超特穴
超特穴とは、「超脈上の特定穴」のことで、全身十八点ある。これは、真の病因である“邪気”を排出するための特別なツボだ。邪気の世界が見えるようになることによって発見されたが、従来の東洋医学にはなかった治療点です。
超特穴を圧すと、強い響きがある。邪気の排出は治療の眼目の一つです。邪気が経絡の虚実を生み、経絡の虚実が心身の症状をつくる。だから、邪気こそ病気の真因である。
第四課程全経絡の走向
知識として覚えこむ必要のあるのは全身二十四経ぐらいであって、あとは、その場で診ることができる方法があるからだ。
第五課程経絡治療の実際
これは、前記の三課程の結実といってよい。増永静人師の遺してくださった、経絡に基づいた指圧体系は、指圧の歴史上、もっとも革命的かつ重大な出来事であった。しかし、残念ながら、これを次代に伝えていくために指導方法がなかった。
現在、増永静人師の遺された指圧療法は、Zen Shiatsuと呼ばれ、日本より海外で広まっている。だから世界中に学校ががあり、多くの人が実践している。
しかし経絡指圧には、学生が証診断や効果的な経絡治療を行えるようになるための、伝達手段がなかった。気の経絡指圧の指導システムは、これを学ぶ人が確実に経絡治療を行えるようになることを可能にした。
これからの治療家
これを簡単に整理すると
①みずからの気を鍛える
②基本の全身指圧
③ツボの治療
④経絡を学ぶ
⑤治療の実践