遠藤喨及の『気の経絡指圧』…「タオ指圧」.8
内観」で心を観る
内観については、「ツボ技法の五行」でも少し触れた。すなわち、自分の心の中を観るということ。
それは、術者の意念と共感によって、これに感応した経絡が、術者の心に反映するからだ。もちろん、はじめはおぼろげなものでしかない。しかし、これを常に内観していくことによって、いつしかハッキリと、生命(気)の流れとして、わが心に立ち表れる時がくる。
「経絡が見える」ようになるというのは、そういうことである。
また、内観というのは、ひとことで言うと、自分の心を対象化して、客観的に観ること。だから、自分の心を観るのが不得意な人は、気や経絡を認識するのも苦手なはずです。自分の心を観るのが苦手な人とは、無反省な人、独善的な人などである。
しかし、自分の心を向上させたいという願いを抱いている人、心の修行をしたいと思っている人は、「経絡認識の五行」は向いています。なぜなら、そうした向上心のある人は、常に、自分の心をふり返って観ているからである。
こうして、意念・共感と続いたあとは、さらに内観へと続く。意念し、共感している自分の心に感応している相手の経絡を、術者は自らのイメージ上に観るのである。すなわち術者は、この五段階目の内観によって、自分の認識の対象としている経絡が、自分の心にありありと映っているのを観る。外なるものを、わが内に観るのである。
位置を正しく取るために
以上の五行(「知識」「利他」「意念」「共感」「内観」)が潜在意識に浸透すれば、やがて指圧中は、この五つのプロセスが無意識の中で循環するようになる。だから、なにげなく、一瞬にして経絡を見ているようだが、無意識は活発に働いている。
この五行は、たんなる「経絡認識のため」のものではない。「気の経絡指圧」のすべての技法や動作に共通する修行である。これを修行することによって、タオ指圧の心、道の心を養ってもいるのである。