アンドルー・ワイル著「ナチュラル・メディスン」.03

専門家への妄信は不健康
いまの医学の主流である現代西洋医学は、ますます高価になり、テクノロジーへの依存度を高め、精神性や霊性を排除して物質としての身体のみ研究努力を注いでいる。近年の傾向としてあげられるのは、医療費の先払いをすすめるさまざまな「健康維持団体」(HMO)の登場である。利潤追求を目的とする企業であるHMOは、かぎられた診療時間にできるだけ多くの患者を診る契約医師を必要としている。その結果、ひとりの患者を診る時間がますます少なくなる。細かい病歴もとらないし、治療
すべき相手の人間像もわからない。一方、患者側は、あらかじめ治療費を払ってあるのだからモトはとろうという気持ちで、ちょっとした頭痛、のどの腫れ、痛みなどで医師の治療を受けるようになり、自分の健康にたいする責任感がますます失われていく。
医療の専門家への妄信は不健康である。私は本書の理論編にあたる『人はなぜ治るのか』という著書で、現代医学(アロパシー医学)の限界と危険性を説き、それにかわるさまざまな代替医学、および現代医学を補う他の体系の諸治療法に検討を加えた。それらの医学や治療法の長所と短所を知り、本書の思想基盤をなしている健康観・治療観を理解するため、ぜひお読みください。
ひとことでいえば、現代医学は外傷、急性細菌感染症、強力な薬剤や外科手術を必要とする緊急時の対処法には非常にすくれている。しかし、ウイルス性感染症、慢性変形性疾患、アレルギー、自己免疫疾患、多くのタイプのがん、精神疾患、「機能性」疾患(目立った物理化学的変化を伴わない機能障害)にはほとんど無力である。そして、それらの疾患や障害はすべて、その発病にこころが大きな役割を演じている。現代医学では治せない病気を現代医学の医師に診てもらうのは賢明とはいえない。現代医学が得意とする病気を現代医学以外の治療家に診てもらうのも賢明ではない。
何よりもまず知っていただきたいのは、あなたの決意である。わたしはあなたが自分自身の健康と幸福に責任を持ちたいと思うようになり、専門家に頼らずにすむ方法を知りたいと思うようになることを期待している。すすんで自分のからだを使って実験し、ライフスタイルを変える気になってくださることを期待している。また、症状の改善が自分の能力の限界をこえ、医師の手にゆだねるべきときであるかを、正しい判断と常識を決定してくださることを期待している。
たとえば熱が高く、寝汗をかき、リンパ節が腫れているのに放置しておくとか、代替療法の治療家を探して時間の浪費をするなどは愚かなことである。迷わず現代医学の医師の所に行き、全身検査や血液検査をしてもらうべきである。自分が自分の主治医になろうとするときや自然療法に頼ろうとするとき、もっとも犯しやすい過ぎちは、現代医学の標準的な治療で簡単に完治するような症状を見逃してしまうことである。