ナチュラル│シンボルとしての食物

シンボルとしての食物
 また、すべての病気は誤った食生活の結果であり、食生活を変えればあらゆる病気が治ると豪語する人も信じてはならない。そうはいいきれないからだ。食生活は健康を左右するファクターのひとつで、重要なファクターではあるが唯一のものではない。食生活は健康を左右するいくつかの主要条件のうち、唯一、完全に自分の意思でコントロールしうるものである。自分の口や胃に何を入れるか、入れないか、それを最終的に決めるのは本人なのだ。吸い込む空気の質、周りの騒音、社会環境といった、健康を左右する他の主要条件は必ずしも個人の力では変えられないが、食生活は自分でコントロールできる。自分で健康になれる機会があるのに、それを無駄にすることは残念なことである。
 生命力を高めるような食習慣に変えることは、内部に備わった治癒メカニズムを活性化することにつながる。慣れ親しんだ食べ物を捨てて新しい食べ物に切り替えるのは簡単なことではない。そうするためには健康増進という目的に向かって、こころのエネルギーを注いでいく必要がある。心の転換の方が食養生法そのものより重要なのかもしれない。私は相談にくる患者に、自然治癒力を高める方法の一つとして食生活を変えるようにお願いしている。しかし、食事療法だけで治そうと思ったことはない。
 私は栄養学や栄養士の意見にはあまり信をおいてない。栄養学は旧式の科学である。食物や食生活の研究は文化的な偏りや価値観に大きく歪められるものだが、当の研究者はほとんでその歪みに気がつかない。
 栄養学はわれわれに、タンパク質信仰という不健康な誤謬のもとになった「四大基本食品群」を提供してきた。栄養士は、意識するしないにかかわらず、食品産業の手先になっていることが多い。つまり、彼らが手にする情報は、第三者的な機関からではなく食品産業からくることが多いのである。