ナチュラル│バランスのとれた食事を

バランスのとれた食事を
 われわれは耳にタコができるほど「バランスのとれた食事をしろ」といわれてきた。しかし、バランスのとれた食事とはいったい何なのか。要するにバランスのとれた食事とは、炭水化物・脂肪・タンパク質という三つの基本的な栄養素が正しく配合された食事のことである。したがって食べ物を賢く選ぶには、それぞれの栄養素について、また、体がそれをどう使うのかについて知っておく必要がある。
<炭水化物>
 炭水化物は炭素と水素と酸素でできた比較的単純な成分で、もっとも基本的な栄養素だ。二酸化炭素・水・太陽エネルギーから、植物がつくってくれる。一番単純な炭水化物はブドウ糖(ブドウに含まれる)、果糖(果物に含まれる)、蔗糖(砂糖キビやビートからとれる、食卓用砂糖)といった糖分である。澱粉はもっと複雑な炭水化物で、単純な糖分が鎖状につながった、大きな分子でできている。植物は光合成でもっとも単純な糖分をつくり、それを他の糖類や澱粉に変えて貯蔵する。
 炭水化物を食べると、体はそれを代謝、つまり「燃焼」させて、貯えられていたエネルギーを放出し、ふたたび水と二酸化炭素に変える。植物にとっても動物にとっても、炭水化物は良質な燃料である。成分を分解してエネルギーを放出するのにさほどの工程を必要としないからだ。代謝の最終産物が二酸化炭素と水だから、効率がいい燃料であるとともにクリーンな燃料でもある。
糖分はインスタントなエネルギー源だ。無限に豊かな太陽エネルギーから植物が最初につくる形態で、もっとも基本的な栄養素であり、体のエネルギー経済の基盤でもある。食べたものは糖分となって組織や細胞に運ばれる。細胞の多くは糖分によって働くことを好み、脳神経細胞のように糖分がなければ働かないという特殊なものもある。脳細胞は澱粉・脂肪・タンパク質の代謝に必要な装置を犠牲にして、糖分だけで機能するようにできているのだ。
 澱粉は準インスタント・エネルギー源だ。澱粉分子からエネルギーをとり出すには、植物も動物も、まずはそれを糖分に変えなければならない。人間の歴史をつうじて、糖分が簡単に手に入るようになったのは最近のことだが、澱粉は農耕の発明以来、一貫して人間の生活で主役だった。澱粉はほとんどの文化の中心的存在であり、米、小麦、トウモロコシ、豆類、ジャガイモをはじめとする根菜塊茎類、パン、パスタ類などなど、この喜ばしい「農民食」である澱粉が栄養と慰めを与えてくれたのである。
 今世紀になって、炭水化物は評判が落ち始めた。虫歯から抑うつにいたる膨大な病気のリストができ、その原因をつくる張本人として、糖分が非難の十字砲火をあびることになった。多くの人が、澱粉は栄養が少なく、肥満のもとになる食べ物だと考えている。パスタをイメージすると、きまってでっぷりと太ったイタリアの農民が浮かんでくる。さまざまな療法の治療家たちが口をそろえて、精製糖(白砂糖)や精製粉(白い小麦粉)は「空カロリー」以外の何ものでもないと宣言する。脂肪やタンパク質に比べて炭水化物があまりにも安価だという事実が、そうした見解に真実味を与えている。