ナチュラル│甘いものを好むか

人はなぜ甘いものを好むか
 糖分が体によくないのなら、人はなぜこれほどに糖分を好むようにできているのか。人間の甘いもの好きにはそれなりの理由があったと、私は考えている。人間の遠い先祖たちが食べた糖分は熟した果物かハチミツの巣ぐらいのものだった。糖分は即席エネルギーだから、それらを好んで食べた者のほうが生存に適した行動がとれ…サーベルタイガーから逃れおおせたり、戦って勝ったりして…その遺伝子を子孫に残した。しかし進化は、ずっとのちに砂糖であふれ返っているような世界が出現することを予測できなかった(私はたいがい、どこの家庭・商店・事務所を訪れれても、たちどころに砂糖のある場所を当てることができる)。甘いものに対する欲求は正常であり、自然である。だが、その欲求のいいなりになるのは賢明ではない。
 私は患者にも甘いものに目がなく、どうしても食べ過ぎてしまうと訴える人が多い。どんなものを食べているのかと聞くと、アイスクリームだったり、ケーキだったりする。単に甘いだけではなく、砂糖と脂肪の組み合わせを好んでいるのだ。それらはとても誘惑的であり、カロリーの宝庫であり、糖尿病のおもな原因になるものである。脂肪ぬきの糖分だけで甘いものを嗜好を満たすように心がけていただきたい。ドライフルーツ、あめ玉、フルーツアイス(シャーベットや氷水)では満足できないだろうか。そして、理由もなく無意識に食べずに、意識的に、たとえば自分をほめてやりたいときの手段として、賢く食べるようにしたいものだ。
 砂糖を悪の権化のように非難する人には、サトウキビのふるさとであるインドではそれが最高位の評価を受け、さまざまなサトウキビ製品がすぐれた食物兼医薬として、古代の聖典に記されていることを知るべきだろう。意識的に、適量を食べる(食べた後は口をすすぐ)かぎり、砂糖は食生活に色を添える喜ばしい食物なのだ。
 代謝という観点からいえば、どんな形態であれ、糖分は糖分でしかない。黒砂糖、ざらめ砂糖、蜂蜜、メープルシロップが白砂糖よりとくにいいわけではない。ただ、それらの糖分は不純物として多少のミネラルを含み、香味が強いので、無意識に白砂糖を使うときよりは使用量が控え目になるという利点があるぐらいだ。最近は精製したフルクトース(果糖)が簡単に買えるようになった。フルクトースはスクロース(蔗糖、ふつうの砂糖)より甘く、甘さの単位あたりのカロリーが少ないという利点がある。また、スクロースより血糖値への影響が少なく、エネルギーサイクルへの影響も少ないと考えられている。
 甘いものは人間の心理と密接につながっている。われわれは子供の頃から、いい子にしていれば、嫌いな野菜を食べれば、甘いものがもらえると教えられてきた。実に多くの加工食品の中に、食べやすくするために大量の砂糖が入っている。
 自分がどれくらいの砂糖を摂取しているのかを考えてみることも必要です。「砂糖断ち」をしたことのない人は一度試してみて、その習慣性の強さを実感してみるのもいい。抑うつ傾向のある人、気分の変りやすい人、エネルギーレベルが変りやすい人は、無意識のうちに糖分に影響されていたということがわかるだろう。