ナチュラル│<脂肪>

脂肪
 脂肪も炭水化物と同じく炭素・水素・酸素だけでできていて、やはりクリーンなエネルギー源である。しかし、脂肪の分子(脂肪酸)は三つの元素が集まってできるときに炭水化物よりも多くのエネルギーを必要とし、したがって、燃焼するときにも多くのエネルギーを放出する。脂肪はもっとも高カロリーの栄養源で、一グラムあたり九カロリーという、炭水化物やタンパク質の二倍に相当するエネルギー源だ。植物は炭水化物から脂肪をつくり、太陽エネルギーを長期間貯えるために使っている。種子に貯えていることが多く、光合成によって自力で糖分がつくれるようになるまでのあいだ、胚を育てるための濃縮栄養素として備蓄しているわけだ。動物は炭水化物、および植物の脂肪や他の動物の脂肪から、独自の脂肪を作っている。
 人間には脂肪の多い食物を好む傾向がある。甘いもの好きに加えて「油っこいもの好き」の人はたくさんいるが、それらもまた進化の遺産であると、私は考えている。脂肪は濃縮エネルギーだから生存に都合がいいのだ。飢餓線上の生活か空腹と満腹を不定期にくり返すような生活を送る人間にとって、脂肪への欲求は当然のことである。とくに大型獣の猟に成功したときなど、特別の機会にしか脂肪にありつけないとしたら、なおさらのことだ。しかし今日では、脂肪は日用品になってしまった。