ナチュラル│<タンパク質>

 タンパク質の化学成分は、炭水化物や脂肪のそれとは比較にならないほど複雑である。タンパク質は生き物にとって、単なるエネルギー源としてよりはるかに重要な働きをしている。筋肉・皮膚・骨など、体の組織をつくり、細胞内部の微小で繊細な機構をつくり、多種多様な生命機能を調整しているのだ。タンパク質の分子は窒素を含む比較的単純な成分であるアミノ酸の長い連鎖としてはじまる。アミノ酸は、アルファベットの文字のようなものだと考えればいい。わずか20種類のアミノ酸から無限の種類のタンパク質をつくる。体はそのアミノ酸を、ほとんど自分でつくってしまう。例外は八つあり、その八つの「必須アミノ酸」を、われわれは食事から取らなければならないのだ。
 タンパク質の連鎖が集まると、アミノ酸の配列によって決められたとおりに、複雑で立体的なかたちができる。「文字」の配列によって、タンパク質という「ことば」に意味が生じるのである。タンパク質の化学構造は、その配列と形態に数かぎりない組み合わせがあるので、他の体成分に比べて、有機体による差異がいちじるしい。私の体の炭水化物や脂肪は、あなたや、私の犬や、わが家の庭の植物の炭水化物や脂肪とさほど変らない。しかし、私たちの体のタンパク質は、植物や動物のタンパク質はもちろん、人間であるあなたのタンパク質とさえ、まったく違っている。
 細胞・組織・器官をつくる設計図は生命の基本的な分子で、遺伝子を形成するDNAにコード化されている。DNAの遺伝コード(これはすべての生物に共通している)で書かれた情報は、特定のタンパク質を作ることによって表現される。生物にとってもっとも重要なタンパク質の一つに、生化学的反応の触媒となり、反応を促進する酵素がある。遺伝子が情報を送ったり止めたりするにつれて、特定の酵素の合成がはじまったり停止しながら、細胞が指示どおりに組織をつくっていき、その組織があなたになり、犬のなり、植物になり、やがて、できあがった生体の機能まで調節する。

2019年9月
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