慢性疲労症候群
誤って「慢性EB(エプスタイン・バー)ウイルス病」と呼ばれることがあるが、これは別の病気である。慢性疲労症候群と呼ばれているものは流行病であり、ほんとうに臨床的な実体がある病気かどうかは必ずしも衆目の一致するところではない。ともあれ、西洋社会に伝染性単核症を起こし、アフリカやアジアでは珍しいがんの原因になっているEBウイルスと何の関係もないことは確かである。したがって、この症候群の診断用にEBウイルスを検出するための抗体試験をしても意味がない。
典型的な慢性疲労症候群の症例は以下のとおりである。若い健康な成人がなりやすく、元気でぴんぴんしていた人が急に風邪のような症状になったきり、回復できなくなる。その後は極端な疲労感と脱力感に悩まされ、仕事も何もできずに家で寝ているという状態がつづく。ほとんどが極度の不眠と記憶障害を訴える。からだのあちことがヒリヒリするとか、からだの中で自動車レースをしているようだとか言う異常感覚を訴える人も多い。のどの痛み・発熱・リンパ節の腫脹を繰り返す場合もある。にもかかわらず大部分の人は元気そうに見え、友人や親戚は本当に病気だとは思っていないことが多い。慢性疲労症候群は何年もつづくことがある。
この新しい症候群がほんとうに特異的な疾患であるとすれば、未知のウイルスによる慢性感染の徴候であるとも考えられる。私の印象では、この症候群の診断を受けた人の一部は慢性ウイルス感染だと思われるが、あとの大半はウイルス以外のさまざまな理由によって不快な症状を呈しているようだ。
現代医学はこの症候群にたいして、抗うつ剤の投与以外にこれといって打つ手がない。ガンマグロブリンやインターフェロン、抗ウイルス薬のアシクロビルの注射をする医師もいるが、こうした思い切った方法は益より害のほうが多いようだ。そのような注射は受けないように忠告したい。以下の方法をおすすめする。
◎規則正しい運動をすること。少なくとも週に5回、20~30分間の運動をする。運動など死んでもしたくないと思うだろうが、自分に鞭打って実行していただきたい。疲労困憊するほど過激にする必要はない。その手前のところの水準をたもつようにする。
◎食生活のガイドラインにしたがうこと。とくに、低タンパク・低脂肪・高炭水化物食を守ること。
◎抗酸化ビタミン療法に加えて、ビタミンB複合体(B100)を飲むこと。
◎1日に2片の生ニンニクを食べること。
◎抗ウイルス作用と免疫強化作用のあるアストラガルスの根を飲むこと。私が使っている製品は「アストラ8」で、他の7種の中国生薬との混合剤だ。これを1日に2回、3錠ずつ飲むといい。
◎「慢性疲労症候群の患者を支える会」のようなグループとは接触しないこと。彼らは患者にあらたな症状にかんする情報を教え、一生治らない病気であるような印象をあたえることが少なくない。
◎医師に相談して家庭用の酸素を処方してもらい、1日に1~2回、15分~20分酸素吸入してみるのもいい。もし効果があるようなら、不要だと思うまで続けるといい。
◎絶望しないこと!慢性疲労症候群は不治の病ではない。ある日、朝目が覚めたら治っていたというパターンを期待せずに、悪化期と緩解期を繰り返す波はあるが、悪化期の頻度が少なくなり、程度も軽くなって治っていくというパターンを期待したほうがいい。