気の周流│大・小周天.1

大・小周天功法.1
大・小周天功法は、元来古代の統治階級が長生不老と成仙上天の道を求めた結果の産物であった。中国の歴史からみて、「翼化成仙」を追求した経緯は3つの段階を経てきた。
(1)第1段階 神仙・仙薬の探求
春秋戦国時代に燕、斉両国の沿海一帯に、神仙にまつわる荒唐無稽な説をことさら唱える者や、自ら不思議な力を発揮する術を身につけていると称する「方士」と呼ばれる一群の者たちが出現した。彼らは海中に「不死薬」を求める、と吹聴してまわった。統治者たちは大量の人力、財力、物量を費やし、多くの有名な方士を招聘するのだが、いかなる手段を弄してもやはり目的を達することはできなかった。顧頡剛(こけつごう)は『秦漢の方士と儒生』の中で次のように記述している。「天下に仙人なんぞはいるものか。節食、服薬の方がまだ病を少なくするのには役立つ」と悔やんだ。
(2)第2段階 不死薬を練る…金丹
煉丹術の主要な原料は丹砂である。丹砂は別名朱砂とも呼ばれる硫化水銀である。当時煉丹に用いられたので、中国医学の最初の薬物学書である『神農本草経』の中でも丹砂は上品の第1に数えられていて、「身体5臓の百病を主る。精神を養い、魂魄を安んじ、気を増し、目を明らかにし、魅邪悪鬼を殺すのにすぐれている。久しく服用すれば神明に通じて老いることはない」と記述されている。丹砂を鉛や硫黄などとともに溶解、精錬して、その中から取り出されるものが「黄金丹」である。それゆえ、練丹術は「練金術」と呼ばれ、錬成されるものが「金丹」と称された。金丹はまた薬金とも呼ばれた。この金丹は天然の黄金と同一の物質であると考えられ、更には不死薬としての効用があると考えられた。漢代から人工的に錬成されはじめていた金丹は、唐代になると「外丹」と一般的に呼ばれるようになる。
練丹の原料には、丹砂、雄黄、白礬、曽青、慈石などがある。一転の丹を服せば3年にして、二転の丹を服せば2年にして、さらに九転の丹を服せば3日にして仙人になることができるように、金丹を服用すれば長生不老、生仙上天できる。なぜなら「五穀はよく人を活かし、人はこれを得て生きている。これが絶えれば死ぬのである。ましてや上品である神薬であれば、その人に益するところ五穀の行く万倍かでなかろうはずがない。この丹なる物は、時間をかけて焼けば焼くほど、ますますその変化は絶妙さを増す。黄金は火に入れて百煉しても消えず、この世の畢わりまでという長い間埋めておいても朽ちることはない。金丹を2つ服せば人体を煉る。だから、不老不死をもたらすのだ」。実際には、自他を騙す話であって、彼らのように金丹を服せば、正に「白日に飛昇した」のである。つまり金丹を含まれる劇毒によってあっという間に中毒死するのであった。

2024年4月
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