止観法│感覚、幻覚、幻境

止観法を行っていて、心身が安静な状態にあるときに、いくらかの感覚、幻覚、幻境が出現することがあるが、そのときは正しく対処して良くない結果を引き起こさないようにしなければならない。
1.感覚(八触)
八触とは、身の痛、痒、冷、暖、軽、重、渋、滑などを言う。「触」とは、自己感覚が生ずることである。

2.幻覚(邪偽)
止観を行っていると、いくらかの幻覚が出現するときがある。『童蒙止観』ではそれを「邪偽」と呼ぶ。幻覚はすべて空虚なものであるととらえ、心を正して方法を守って行い、幻覚を意に介さないでそのままにしておけば、自ずと解除される。

3.幻境(魔事)
幻境は、邪偽よりさらに進んだ幻覚である。「魔」とふつう呼ばれていて、『童蒙止観』によれば、止観の最中に出現して「人心を動乱して禅定を失わせる」種々の幻境は、すべて魔である。
幻境に対して注意すべきことは、「心に驚怖を生じ、および貪著をおこし、これに因って心乱れて定を失い。狂を発し、おのずからその患を致す。これはみな行人が無智にして患を受けるものである。魔の為すものではない」。幻境を恐れたり喜んだりすると、練功から逸脱する事態を招き、自己の思考活動を思いのままに操ることができなくなり、良くない結果を生み出してしまうことになる。正確に対処しさえすれば、幻境が悪い結果を引き起こすことはない。

2024年4月
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