西野皓三│左脳摘出手術①

左脳摘出手術を受けた患者の驚くべき状況①
身体知の驚くべき実例を一つ上げたいと思います。
アメリカのUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)で神経外科医のワーリック・ピーコック博士が手術を行い、信じられないような成果を収めたのです。シャリーン・ランズリーさんは、生後間もない息子のオースチンの様子がどうもおかしいことに気づきました。
オースチンは全然笑わないし、おもちゃにも興味を示さず、宙をぼんやり見ているだけ。また、自分一人ではうまく身体のバランスをとることもできずに、首が急にカクンと折れて、頭をテーブルなどに強くぶつけてしまうのです。
シャリーンさんは生後2カ月頃から小児科を訪ねあるきましたが、どこに連れっていっても原因はまったく分からない。半年間医師を探し求めた両親は最後の望みを託し、世界的に著名なUCLAの大学病院に行きました。UCLA大学病院はPET(陽電子放射断層撮影装置)を開発したことでも有名で、特に脳神経外科では世界一と言われています。
そのUCLA大学病院でレイマン・サンカーという小児科医が、オースチンの脳を調べた結果、驚くべき事実が判明したのです。PETで見ると、オースチンの左脳がまったく機能していないことが分かったのです。先天性機能障害で、左脳がまったく働いていなかったのです。その左脳から出る異常な脳波が、右脳にも深刻な影響を及ぼしていることも分かりました。
レイマン・サンカー博士は衝撃的な治療法を両親に提案しました。機能していない左脳を摘出するというのです。
母親のシャリーン・ランズリーがショックを受けたのは言うまでもありません。しかし、父親のジャック・ランズリーは、息子が少しでもよくなるならと手術を承諾したのです。

2024年4月
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