西野皓三│身体にいる“誰か”①

手術後感じた、自分の身体の中にいる“誰か”①
このクレアさんは、自分自身の体験を『A CHANGE OF HEART(チェンジ・オブ・ハート)』という本にして出版しました。発売されるや全米でベストセラーになり、テレビをはじめ、さまざまなメディアでも特集が組まれた程です。
この本の中には、彼女の身体が手術後どのように変わっていったのか、そして、その変化の真相を彼女がどのようにして突き止めたのかが、詳しく書かれています。
彼女に「変化」が起こったのは、手術直後からでした。集中治療室のベッドで意識が回復して間もなく、クレアさんは、自分の身体の中に誰かがいるように感じ出したのです。それは、最初はちょっとした恐怖感のようなものであり、それが徐々に、妙に心を惹かれるような感じに変わっていきました。
彼女はやがて、自分の振舞いや癖、好みなどが変わっていることに気がつきました。本の中では、そうした自分の変化に戸惑う彼女の様子が、実に克明に書かれています。
そして決定的なことが、手術の五カ月後に起こったのです。彼女は夢の中にティムという青年に会うのですが、実は彼は心臓と肺のドナーだったということが判明したのです。もちろん、彼女は生前のティムも知らないし、どんな人間から臓器を移植したのかも知らされていなかったのです。
この驚くべき事実が示すのは、移植した臓器の細胞にドナーのさまざまな記憶が残っており、その細胞と臓器提供を受けた側(クレア)の身体の細胞がコミュニケーションを行っているということに他なりません。