西野皓三│DNAと知性①

DNAが人間の知性を創った①
人間の身体は約60兆個の細胞から出来ています。そして、その細胞の一つひとつにナノマシンがたくさん含まれているのです。一つひとつの細胞自体、ナノマシンが組織化されて出来た総合システムなのです。
現在日本の人口はおよそ一億二千万人です。この数字はある程度感じ取ることのできる数でしょうが、世界の人口60億となると、実感するのが難しい数となります。その60億を1万倍した数となるのです。
私たち人類は、この60億の人間を一つに結集させることができていません。ところが、人間の身体という小宇宙は、その60億のという世界の人口のさらに1万倍以上の数の、独立システムである細胞が集まって作られているのです。人間の身体が、いかに想像を絶するほど精密で複雑な仕組みでできているかということを察することができます。
細胞というものにしても、どれだけの人が実感をもって、その驚愕的な存在感を分かっているのでしょう。専門家はともかくとして、一般の人が思い描くことのできる細胞とは、せいぜい「膜に覆われた、何かゼリー状の柔らかいアメーバのような生き物(有機体)」といった程度のイメージではないでしょうか。
少し厳密に捉えれば、細胞というのは「膜に覆われたゼリー状の柔らかい生き物(有機体)」と簡単に言うことさえできません。人間の身体は筋肉や内臓に限らず、髪も骨も爪も歯もすべて細胞から出来ています。ですから、細胞が「柔らかいもの」というのも、はなはだ曖昧なイメージなのです。

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