なぜ大脳は有害情報も入ってしまうか①
私たちの持っている脳という器官も、身体の一部ですから、免疫能力によって守られています。しかし、情報処理という、大脳(新皮質)の機能に関するかぎり、その防衛体制は完璧ではないのです。
ホモサピエンスたる人間の脳は特別な器官だと考えられてきました。身体が呼吸と食べ物によって得られる、酸素や栄養素というフィジカル(物理的)なエネルギーを摂取して人間としての活動を行っているのに対して、大脳はメタフィジカル(言語的、記号的)な情報を取り入れて人間としての知的活動を行っているからです。
大脳が摂取している情報は、いいものばかりではありません。その中には、外敵のように自己に襲い掛かってくる情報もあります
大脳には、物理的な敵から身を護る免疫システムはあっても、有害な情報という敵から身を護る自然フィルターを与えられていないのです。入ってきた情報を、経験と学習によって得た脳の判断能力だけでふるいにかけなければならないのです。
大脳には、一瞬も休むことなく情報が流れ込んでいます。その情報収集能力は、素晴らしいものだと言えます。しかし、大脳というものは、どのような情報でも、いったんはすべてを受け入れてしまいます。害になる情報も有益な情報も、選別なしに大脳に入ってくるのです。
正しい情報、間違った情報、ニセ情報など、情報は千差万別です。ところが大脳には情報に対する「免疫」というフィルターがない。それらの真偽を確かめる絶対的な抗体、つまり絶対的な判断基準を大脳は持っていないということです。
これをカバーするために、人間には経験や学習を通して得た「経験的な判断基準」がありますが、これがしっかりとした免疫機能を発揮するほどになるには、かなり時間を要します。
西野皓三│大脳の有害情報①
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