西野皓三│大脳の有害情報②

なぜ大脳は有害情報も入ってしまうか②
免疫系の働きには、抗原抗体反応というのがあります。身体に侵入してきた抗原を、免疫系が抗体を作り出すことによって防御しているのです。ところが、脳における抗体のようなものとして私たちが持っているのは、「経験知」だと言えます。
しかし、この経験知の中には自分が直接体験し、感じ取った以外に、他人から聞いた知識や世の中の常識が入り込んでいるからです。
情報メディアの中には、テレビをはじめとしたヴィジュアルなものも、含まれます。視覚は、大脳と深い繋がりがあります。つまり、現代のような脳主流の文化は視覚文化ともいえるのですが、実は、この視覚には、脳の影響としてのさまざまな意図や錯覚が内在しているのです。
“百聞は一見に如かず”と言いますが、同時に「目は脳(既成概念や筋書き)で見ている」とも言えるのです。
写真がスキャンダルや陰謀によく利用されることは、このことを物語っています。男女が何人か集まって撮った写真を切り取ってツーショット写真を作ると、ほとんどの人が常識的な頭の世界で見る(考える)ために、この二人はただならぬ仲だと思い込んでしまいます。
最近ではテクノロジーの進歩が、事態を深刻にしているのです。デジカメを使うと、モデル(被写体)の身体の向きを変えることはもとより、痩せさせたり、太らせたりすることも、背中合わせに立っている二人を向き合わせ、抱擁させることもできるのです。さらには、モデルの服を着替えさせることも、裸にすることさえできるのです。
こうしたテクノロジーを利用されれば、どんな人でも視覚にだまされてしまって“嘘”(虚像)を信じることになりかねません。
人が経験を重ねていく過程で、脳がしっかりと真偽の判断ができる“抗体”というべきもの(判断基準)を作ることは、難しいことなのです。