西野皓三│ギャンブル依存症①

ギャンブル依存症と大脳の関係①
よく言われる言葉に“現場100回”という言葉があります。
これは、ジャーナリストが、自分の足で現場に行って、自分の目、耳で、じかに取材をして情報を集め、さらに現場取材を繰り返してから記事を書くのが原則だという意味です。
犯罪捜査などをする場合も同じです。現場に行き、その場にいたという人のさまざまな証言を聞き、証人の思い違いや主観による決めつけなどの可能性もあるので、何度も現場に足を運ぶことを忘れずに、あらゆる角度から調べることが大切なのです。
これは、情報収集のプロであるジャーナリストや、捜査官としての適切な経験知(脳の抗体)の教えるところだと言えます。本物の経験知は「現場100回」を積み重ねていかなけば得られないものなのです。
人間を蝕み害する情報(抗原)に、脳が抗体(経験知)を作るのには、歴史を眺めてみると、100年単位という時間が必要とされるようです。
イデオロギーという、大きな規模の情報が淘汰されるのは、政治体制が二回りも三回りもしなければなりません。政治体制の寿命は50年ぐらいだとされますから、100年もすれば、多少、真偽を客観的に判断できるようになるということです。
ようやく作り上げた抗体、つまり判断基準も、時代や国や教育などによって容易に変わる、相対的なものに過ぎません。あらゆる外敵から断固として命を守る免疫システムのような判断基準を大脳は持っていないのです。

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