西野皓三│洗脳のカラクリ

洗脳テクニックのカラクリ
このような頭脳の働きに付け込んで生まれたのが、洗脳のテクニックです。
洗脳テクニックとは、他の情報を遮断し、一定のイデオロギーやドグマだけを脳に延々と注入するのです。脳は情報の真偽を判断する「情報の免疫系」を持っていないので、他から見ればそれがいかに恐ろしいアイデアであっても、唯々諾々とインプットしてしまうのです。その結果、他人の生命どころか、自分の生命を傷つけても平気な人間さえ生まれてしまう可能性があるのです。
こう書くと「脳はそんなに単純なものではないだろう」という人がいるかもしれません。
もちろん、どんな人もそれなりの経験知を持ち、周囲の人々や社会の影響を受けています。したがって、知らず知らずのうちにある程度の総合判断ができるようになっています。洗脳などというのは、別世界の話のように思えるでしょう。
洗脳といっても特殊なイデオロギーの洗脳に限りません。現代社会にはマルチ商法の勧誘などさまざまなソフトな洗脳のワナが溢れています。脳は思いのほか容易に洗脳されてしまうということを知らなくてはなりません。私たちの脳は、甘い言葉にはついつい引き込まれてしまうことがあるのです。
「あなたは本当に素晴らしい才能をお持ちです」とか、「あなたには自分でも気がつかない隠れた魅力があります」と囁かれれば、人間はついその言葉に惑わされてしまうものです。
また、「あなたの身に危険が迫っています」「近々、大変なことが起こります」などと脅しをかけて、恐怖心をあおりながら、「それから逃れる方法があるのです」と洗脳に導く方法もあります。言葉巧みに弱みにつけ込み、優しい救いの言葉をかけ、親しい間柄を作っていき、気がついたら、その人の術中にはまってしまうということは、珍しいことではありません。
脳には情報の真偽をチェックする免疫系がないので、状況次第でいともたやすく洗脳されてしまうのです。
洗脳は端的な例ですが、私たちが崇高で絶対だと思っている脳は、人間にとって最重要な器官であると同時に、危うい器官でもあるのです。

2020年6月
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