西野皓三│300年生きる②

人間は300年生きなければならない!?②
たとえば、手は「第二の脳」と言われるように、手と脳の間に深い繋がりがあることもよく知られています。「手と脳」の研究の第一人者である京都大学の久保田競(きそう)教授は手と脳の密接な関係を次のように述べています。
原始霊長類の手の「ひっかける」あるいは「つかむ」機能に、高等霊長類の「にぎる」あるいは「つまむ」機能が付け加わり、ついにはヒトにみられる微妙で精密な手の「マニブレーション」ができるようになるまでに、6500万年かかっている。このながい歴史のなかで、手と脳は人間の生活とともに、どのように変化してきたのだろうか。手が先に発達したのだろうか、それとも脳が先に発達したのだろうか。実はこのような質問は無意味な質問で、どちらともいえないのである。手が動くにはその動作に応じた脳の働きがあり、手と脳の働きのどちらもが原因となり結果となって、ヒトの手と脳ができたのであるから、どちらが先というのは「ニワトリかタマゴか」の循環論におちいってしまう。(『手と脳…脳の働きを高める手』紀伊国屋書店)
生命科学の専門家ではない超合理主義者のミンスキーは、脳を本当に活かすためには実際に脳の機能を支え、脳を生かしている身体や細胞そのものの研究をしなければならないという重要なことを見逃していますが、彼の「人間が人生に必要な経験知を積み重ねていくには300年から500年かかる」という指摘は、示唆深いものがあります。